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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[薬剤耐性菌 その2] (2013.10.31)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[薬剤耐性菌 その2] (2013.10.31)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[薬剤耐性菌 その2] 平成25年10月31日配信 
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前回(10月24日配信)のe-マガジン【読み物版】では、薬剤耐性菌に関する一般的な情報をお届け
しました。
今号では、薬剤耐性菌に関するQ&A及び肥料・飼料等専門調査会唐木前座長の随想をお送りしま
す。

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薬剤耐性菌Q&A
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Q1 薬剤耐性菌はどうして出現するのですか。
A1 人や家畜の病気を治療するために、抗菌性物質を使用すると一部の細菌が後天的に耐性を獲得
することがあります。
細菌が耐性を獲得する方法は、細菌が増殖するときに突然変異したり、他の細菌が持つ耐性遺
伝子をもらう方法等があります。例えば、カンピロバクターの場合、フルオロキノロン剤が標的
とするDNAの部位のうち、1か所が変異するだけで耐性を示します。抗菌性物質によって感受性
のある細菌は殺されるため、耐性を獲得した細菌だけが生き延びていきます。このため抗菌性物
質が使われることで、薬剤耐性菌の比率が増加していきます。 

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Q2 人が食品を介して薬剤耐性菌に感染し、病気や食中毒になると、どのような危険性があります
か。
A2 抗菌性物質に耐性を獲得した薬剤耐性菌に感染すると、治療に抗菌性物質を使っても抗菌性物
質の効果が軽減され治りが悪い、または治らなくなる恐れがあります。

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Q3 家畜において薬剤耐性菌が出現しないように国内ではどのようなことが行われていますか。
A3 家畜における薬剤耐性菌の出現や、動物病原細菌の薬剤感受性が維持されているか等の実態調
査のため、農林水産省は家畜保健衛生所の支援を受けて、全国的な薬剤耐性モニタリングのネッ
トワーク(JVARM(ジェーバーム)(Japanese Veterinary Antimicrobial Resistance Monitoring
System)※)を構築し、薬剤耐性調査が行われています。
モニタリング成績は動物医薬品検査所のホームページ等で広く情報公開されています。

詳細はこちらをご覧下さい。
[農林水産省 動物医薬品検査所]
動物用抗菌性物質製剤のリスク管理措置策定指針
http://www.maff.go.jp/nval/tyosa_kenkyu/taiseiki/pdf/240411.pdf

我が国の家畜衛生分野における 薬剤耐性モニタリング体制(JVARM)
http://www.maff.go.jp/nval/tyosa_kenkyu/taiseiki/monitor/index.html

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Q4 薬剤耐性菌に関する国際的な動きは?
A4 1990年代後半以降、世界的に薬剤耐性菌が人の細菌感染症の治療を困難にする危険性が注目さ
れ、世界保健機関(WHO)は、1997年(ベルリン)と1998年(ジュネーブ)に「食用動物における抗
菌性物質の使用が人の医療に及ぼす影響」について専門家会議を開催しました。
その会議の中で、薬剤耐性菌が動物と人との間でどの程度分布し、広がっているか、という状
況を把握するための動向調査と情報収集(モニタリング)の重要性が指摘されました。

以降、世界保健機関(WHO)、国際獣疫事務局(OIE)及び国連食糧農業機構(FAO)等の主催する種々
の会議の中で、国レベルでの薬剤耐性菌の動向調査や、国際的なネットワークの構築等につい
て議論され、
・国際獣疫事務局(OIE)
・国連食糧農業機構(FAO)
・世界保健機関(WHO)
・欧州連合(EU)
・国際食品規格委員会(Codex)
・米国
等の各国際機関及び各国が、畜産食品由来の薬剤耐性菌のリスク分析のための調査及びガイドラ
インの作成を行い、リスク分析に取り組んでいます。

2002年には、国際獣疫事務局(OIE)を中心に、動物用抗菌剤の慎重使用を励行するためのガイド
ラインが、2003年には国際的に共通な薬剤耐性の視点に立った動物用抗菌剤の承認基準に関する
ガイドライン(「抗菌剤耐性に関する国際基準」)が策定され、国際機関を中心として、動物と人
の両方の健康を保護する見地から、薬剤耐性の抑制及び減少のために動物用抗菌性物質の「慎重
かつ責任ある使用」と薬剤耐性に係るさらなる情報の収集が呼びかけられています。
さらに、2011年には、Codexにおいて食品由来の抗菌剤耐性に係るリスク分析に関するガイドラ
インが策定されています。

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Q5 薬剤耐性菌は、畜産現場のみで出現しているのでしょうか?
A5 薬剤耐性菌は、医療の現場でも出現しています。
出現の背景には、医療現場での抗菌性物質の使い過ぎや抗菌性物質の不適切な選択のおそれもあ
ると思われます。診療レベルで大切なことは、医師が抗菌薬を正しく使い、治療を受ける患者が医
師から処方された抗菌薬の服薬回数の変更をしたり、自己判断で抗菌薬の服用を中止しないで、処
方どおり服用することです。

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2.「サプリメントの効能表示」(肥料・飼料等専門調査会前座長 唐木 英明)
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消費者アンケートで「不安」の上位を占めるのは添加物や農薬などの化学物質である。目には見え
ず、味やにおいでも分からず、その存在も危険の程度も、科学者や行政が言うことを信じるしかな
い。それが不安の原因とも言われる。
 ところが不思議なことに、サプリメント(サプリ)を警戒する人は少ない。添加物や農薬は一生の
間毎日食べ続けても健康に被害が出ない一日摂取許容量以下しか入っていない。一方、サプリの有
効成分である化学物質は、身体に確実に影響がある量(多量)が入っている。そして化学物質の用量
作用関係から見ると、こちらのリスクのほうがずっと大きい。
 しかも、消費者庁の調査結果では、多くのサプリのうち効果があると判定されたのは医薬品であ
るn-3系脂肪酸(EPAとDHA)の心血管疾患リスク低減効果などだけで、やはり医薬品のコエンザイ
ムQ10、あるいはヒアルロン酸、グルコサミン、にんにくなどの効果は「あるかもしれない」ある
いはそれ以下というレベルである。医薬品は病気を治すため、サプリは健康人の健康維持のためと
いう目的の違いが効果の違いを生んでいる。
 サプリを「健康食品」と称して、これを飲めば健康になるというイメージが広がり、サプリ市場
は2兆円近くまで成長し、アベノミクスはサプリの効能表示を解禁する方向だ。
健康を守る条件は食生活と運動と休養であり、サプリではないことをもう一度思い出す必要がある。


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