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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[農薬その2] (2013.8.30)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[農薬その2] (2013.8.30)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[農薬その2] 平成25年8月30 日配信 
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前回(8月22日配信)のe-マガジン【読み物版】では、農薬の評価の概要などについてお届けしました。
今号では、農薬に関するQ&A及び三森委員長代理の随想をお送りします。

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農薬に関するQ&A
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Q1 農薬はなぜ必要なのでしょうか?
A1 農業現場においては、様々な作物を少しずつ栽培するのではなく、利用したい作物を一定程度大
規模に栽培するため、病害虫や雑草が発生しやすくなります。一定の収穫量や品質を維持・確保する
ためには、何らかの方法で病害虫や雑草を防除する必要があります。
病害虫や雑草を防除するのに有効で経済的な手段が農薬です。

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Q2 農薬のADI(一日摂取許容量)の設定には、胎児への影響についても考慮されているのですか。
A2 ADIの設定に当たっては、実験動物を用いた様々な毒性試験が行われますが、胎児への影響につ
いても考慮するため、2世代にわたって検体を投与された雌雄動物を繁殖させて妊娠や出生への影響
を調べる繁殖試験や、妊娠した母動物に検体を投与し、胎児への影響を調べる催奇形性試験も行われ
ます。
このような次世代への影響も含め、様々な影響を調べる試験を行った結果、何ら毒性所見が認められ
なかった量(無毒性量)のうち最小値を基にADIが決定されます。

※ADI(一日摂取許容量)
一日摂取許容量(ADI: Acceptable Daily Intake)とは、ヒトがある物質を毎日一生涯にわたって摂取
し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量のことです。食品の生産過程で
意図的に使用するもの(農薬、添加物など)に使われます。
通常、体重1 kg当たりの物質の量として「mg/kg 体重/日」として表します。

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Q3 「ポジティブリスト」とはなんですか?
A3 これまで我が国では、農薬、動物用医薬品、飼料添加物(以下「農薬等」と略)について、禁止さ
れているものをリストアップし、他は原則自由というネガティブリスト制度を取っていました。これ
では、残留基準が設定されていない農薬等については基本的に規制ができないことから、平成18年
5月にポジティブリスト制度が導入されました。
この時、世界で使用されている農薬等について、
[1]残留基準が設定されていたものはそのままの基準
[2]農薬取締法に基づく基準、国際基準、欧米等の基準等を踏まえ、暫定的な基準値(「暫定基準」)
を設定
[3]残留基準が設定されていないものは、人の健康を損なうおそれのない量として0.01 ppmの一律基
準を設定
とそれぞれ残留基準が告示されました。
これらのいずれも、基準を超えて農薬等が残留した場合、その農産物の流通・販売等は全面的に禁止
されます。
暫定基準については、順次、食品安全委員会でのリスク評価を経て、厚生労働省で残留基準値の見直
しが進められています。


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2.「農薬のイメージ」(食品安全委員会委員長代理 三森 国敏)
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食品安全委員会が内閣府に設置されて今年で10年が経過します。その間審議された品目数は1405に
なりますが、その中で農薬の審議品目数は540を超えます。その一方で、国民の皆様からの農薬に対
するイメージは、「危険性がある。」、「体に良くない。」、「環境を破壊する。」など、相変わらず悪い
イメージをもつ方々が多いと思います。
このような「農薬離れ」は、戦前から戦後間もないころに開発された有機塩素系除草剤や有機リン系
殺虫剤などの農薬の毒性が非常に強かったことに端を発していると思います。食料難が深刻であった
当時の農薬開発は、害虫の駆除や雑草の除去などによる生産性の向上を主な目的としており、ヒトへ
の健康影響や環境に与える影響などについては、あまり考慮していなかったわけです。
このような過去の「危ない農薬」から脱却するため、政府は1972年に農薬取締法を大幅に改正し、
農薬の哺乳動物に対する毒性(発がん性や生殖発生毒性等)、作物や土壌中の残留や環境への影響など
多岐にわたる資料提出を義務付けるようになりました。このような流れから、農薬メーカーは、ヒト
や環境にやさしい農薬を開発する努力を進め、現在では、上記の厳しい規制をクリアしたもののみが
承認されるようになっています。にもかかわらず、農薬に対する国民のみなさんのイメージは昔のま
まです。
食品安全委員会では、農薬について正しい認識を持っていただくため、農薬の毒性等をわかりやすく
解説する等、国民とのリスクコミュニケーションを積極的に進めております。


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