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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[遺伝子組換え食品 その2] (2013.7.26)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[遺伝子組換え食品 その2] (2013.7.26)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[遺伝子組換え食品 その2] 平成25年7月26日配信 
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前回(6月20日配信)のe-マガジン【読み物版】では、食中毒の予防などについてお届けしました。
今号では、食中毒に関するQ&A及び石井委員の随想をお送りします。

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1.遺伝子組換え食品に関するQ&A
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Q1 遺伝子組換え食品を食べても大丈夫なのですか?
A1 日本では、2001年4月から、安全性審査を受けていない遺伝子組換え食品またはこれを原料とす
る食品の製造、輸入、販売が法律で禁止されています。
安全性審査では、食品安全委員会が遺伝子組換え食品の人への健康影響を評価します。その際は、さ
まざまなデータに基づき、組み込んだ遺伝子によって作られるタンパク質の安全性や組み込んだ遺伝
子が間接的に作用し、有害物質などを作る可能性がないことを確認しています。その結果、安全性に
問題がないと判断した食品を厚生労働省が公表しています。市場に出ている遺伝子組換え食品は、安
全性が確認されたものです。食べ続けても問題はありません。

Q2 遺伝子組換え食品の評価では、アレルギーについて調べているのですか?
A2 アレルギーについては、遺伝子組換えにより新たに生じたタンパク質がアレルギーを誘発しない
か、すでに知られているアレルゲン(アレルギー原因物質)と構造が似通っていないかなどを評価して
います。
 具体的には、まず次の4事項について調べ、挿入された遺伝子により作られるタンパク質の(発現)
量も含めて総合的に判断した上で、安全性を確認しています。
(1)挿入する遺伝子を提供する微生物又は植物等にアレルギー誘発性の報告があるか。
(2)挿入された遺伝子により作られるタンパク質がアレルゲンであるという報告があるか。
(3)挿入された遺伝子により作られるタンパク質が胃・腸で消化しにくかったり、熱に対して安定で
あったりしないか。
(4) 挿入された遺伝子により作られるタンパク質は、既に知られているアレルゲンと構造が似通って
いないか。
上記4項目でアレルゲンとなり得る可能性が否定できない場合は、
(5)アレルギー患者の血清を用いて、免疫反応が起こるか確認することになります。

Q3 実験動物を用いた長期毒性試験が行われることはあるのですか?
A3 遺伝子組換え食品の安全性評価は、食品安全委員会で定めた評価基準に基づき、これまで食経験
のある従来品種との比較により行っています。
主な評価項目は、
[1]導入された遺伝子の由来の微生物や植物及びそれによって作られるタンパク質の有害性やアレルギー
誘発性
[2]遺伝子を導入することによる意図しない有害性
[3]食品中の含有成分が従来品種と比較して大きく変化したり、新たな成分が作られていないか
などがあります。
これらの詳細な評価により安全性が十分に確認できない場合には、必要と考えられる慢性毒性試験や生殖
に及ぼす影響に関する試験などにより安全性の確認を行うことが評価基準に規定されています。

Q4 「遺伝子組換えではない」と表示された食品を見ますが?
A4 遺伝子組換え食品の表示は、安全性が確認された遺伝子組換え食品について、現在、商品化が可
能な
[1]じゃがいも(ばれいしょ)
[2]だいず
[3]てんさい
[4]とうもろこし
[5]なたね
[6]わた
[7]アルファルファ
[8]パパイヤ
の8農産物とその加工品(一部を除く)について、遺伝子組換え農産物が含まれているかに関する表示
が義務付けられています。一方、遺伝子組換え農産物を含まない場合は表示義務はありませんが、任
意で「遺伝子組換えではない」などの表示をすることができます。
なお、油やしょうゆなどは、遺伝子などの検出が不可能なので、遺伝子組換えの表示義務はありませ
ん。ただし、任意で表示することは可能です。


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2.「遺伝子組換え食品に関する法的規制」(遺伝子組換え食品等専門調査会座長 澤田純一)
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遺伝子組換え作物とそれに由来する遺伝子組換え食品の安全性に関する法的な規制は、主に二つの法
律に準拠していることをご存じでない方もおられるようである。
遺伝子組換え食品の元となる遺伝子組換え作物については、略称カルタヘナ法(正式名は、「遺伝子
組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」)に基づいて、環境中の他の生
物への影響が評価される。組換え作物を田畑で栽培するためには、カルタヘナ法で規定された第一種
使用(開放系での栽培)の大臣承認(農林水産大臣及び環境大臣)が必要とされる。
一方、遺伝子組換え食品のヒトへの健康影響に関しては、厚生労働省所管の食品衛生法により定め
られた「食品、添加物等の規格基準」に基づいて安全性評価が必要とされ、厚生労働省はその評価を
(別の法律である食品安全基本法の規定に従って)食品安全委員会に依頼することとなる。これが、食
品安全委員会に遺伝子組換え等専門調査会が設けられている所以である。従って、食品安全委員会の
守備範囲は、ヒトへの健康影響を評価(リスク評価)することである。現在に至るまで、数多くの遺伝
子組換え食品の安全性確認が行われてきたが、ヒトへの健康影響の点で問題が生じた事例はまだ確認
されていない。
ここで、カルタヘナ法と食品衛生法の遺伝子組換え生物の対象範囲が異なっていることにも留意し
て頂きたい。カルタヘナ法は、あくまで生きた生物(発芽できる種子も含まれる)を規制の対象とする。
一方、食品衛生法の対象は食品であり、加工等を受けて死んだ作物や微生物も対象に含まれる。

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