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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[牛海綿状脳症(BSE)その3] (2013.5.15)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[牛海綿状脳症(BSE)その3] (2013.5.15)

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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[牛海綿状脳症(BSE)その3] 平成25年5月15日配信 
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牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しのうち「国内措置の検査対象月齢の引き上げ」に係る食品健康影響
評価については、第473回食品安全委員会(平成25年5月13日開催)において承認され、同日付け
で諮問元である厚生労働省へ評価結果を通知しました。
今号では、本評価書(案)に関するパブリックコメント(4月9日から5月8日まで実施)の概要と、
いただいた御意見・情報を踏まえ、改めて整理した評価書(案)取りまとめの基本的な考え方をお送
りします。

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評価結果の通知
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今回の評価書は、平成23年12月の厚生労働省からの諮問内容のうち、具体的な諮問内容(3)の国内
措置の「検査対象月齢」をさらに引き上げた場合のリスクについて、検討を行ったものです。
なお、諮問内容のうち(1)及び(2)については、平成24年10月、評価結果を厚生労働省に通知済みで
す。(平成24年10月に通知した食品健康影響評価結果に関する概要、Q&A情報は、
http://www.fsc.go.jp/sonota/bse1601.html
をご覧ください。)

平成24年10月の第75回プリオン専門調査会において検討を開始し、平成25年4月3日の第79回
同専門調査会まで、最新の科学的知見に基づき審議を重ね、評価書(案)が同年4月8日の第470回食
品安全委員会へ報告されました。

その後、今回の食品健康影響評価に関する審議結果(案)について、平成25年4月9日から同年5月
8日までの間、国民の皆様から御意見・情報の募集を行いました。
ここで寄せられた御意見・情報を踏まえ、同年5月13日の第473回食品安全委員会へ報告、決定さ
れ、同日諮問元である厚生労働省へ評価結果の通知を行いました。

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牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての御意見・
情報の結果について
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■実施期間
平成25年4月9日~平成25年5月8日

■提出方法
インターネット、ファックス、郵送

■提出状況
91通

■整理状況
【A】国内のBSE検査対象月齢を引き上げることに反対 等
【B】変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の発生が心配 等
【C】非定型BSEに関する情報収集と丁寧なリスクコミュニケーションの実施 等
【D】牛肉の輸入に反対 等
【E】消費者の選択に資するため、原料原産地表示等が必要 等
【F】A~Eに関係する複数の論点等に係る意見等をいただいたもの
【G】その他

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「評価書(案)取りまとめの基本的な考え方」
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○食品安全行政については、食品安全基本法に基づき、リスク評価を行う食品安全委員会と、リスク
管理を行う厚生労働省、農林水産省等の関係行政機関が連携して担っています。同法に基づき、食品
の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、食品健康影響評価を施策ごとに行われなければな
らないこととされており、食品健康影響評価が行われたときは、その結果に基づいて、施策が行われ
なければならないとされています。

○食品安全委員会は、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下、規制や指導等のリ
スク管理を行う関係行政機関から独立して、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正に食品に含まれ
る可能性のある危害要因が人の健康に与える影響についてリスク評価を行っています。

○平成23年12月に厚生労働省から諮問を受け、食品安全委員会は、平成24年10月の評価に引き続き、
残りの諮問事項について調査審議を行ってきました。
今回の評価においては、日本をモデルケースとして評価手法の検討を行ってきたこと等を踏まえ、
第78回プリオン専門調査会において取りまとめられた「評価手法」に従い、必要なデータが揃った
国内措置の検査対象月齢について、先行して議論を行ったところです。
なお、米国、カナダ、フランス及びオランダからの国境措置に係る輸入対象月齢については、今後、
引き続き検討していくこととしています。

○今回の評価では、評価対象国(日本)において定型BSEが発生する可能性が極めて低い水準に達して
いるか否かを基本的な判断基準として定性的に評価するため、出生コホート(出生年月が同じ牛群のこ
と。)の考え方を基本として、
[1]出生年月ベースでの最終発生からの経過年数
[2]交差汚染防止対策まで含めた飼料規制の強化措置を導入してからの経過年数
[3]BSE対策(飼料規制等)の実施状況
を考慮して評価を行いました。

○その結果、日本において、各段階におけるBSE発生防止対策は適切に行われているものと判断され、
牛群のBSE感染状況、BSEプリオンの侵入リスク低減措置(輸入規制)、増幅リスク低減措置(飼料規
制等)及び曝露リスク低減措置(食肉処理工程)に加え、牛と人との種間バリアの存在を踏まえると、
日本において、牛由来の牛肉及び内臓(特定危険部位以外)の摂取に由来するBSEプリオンによる人で
のvCJD発症の可能性は極めて低いと考えられました。

○さらには、出生年月でみた場合、2002年1月に生まれた1頭の牛を最後に、それ以降11年にわた
り、BSEの発生は確認されていません。EUにおけるBSE発生の実績を踏まえると、BSE感染牛は満11
歳になるまでにほとんどが検出されると推定されることから、出生年月でみたBSEの最終発生から11
年以上発生が確認されなければ、今後、BSEが発生する可能性はほとんどないものと考えられました。

○しかしながら、出生後の経過年数が11年未満の出生コホートについては、経年とともに各出生コ
ホートが受ける感染リスクは減少して行く一方、BSE検査による検証率も低くなると考えられます。
仮に、このコホートに感染があった場合には、発生の確認に十分な期間が経過していないものと考え
られるため、当面の間、検証を継続することとし、将来的に、検査対象月齢のさらなる引き上げ等を
検討するのが適当であると判断しました。具体的には、BSE検査陽性牛のこれまでの実績や感染実験
により得られた知見を参考とし、国内のと畜場における検査対象月齢を48か月齢超に引き上げたとし
ても、人への健康影響は無視できると判断しました。言い換えれば、牛肉等の安全性に変わりはない
ということです。

○国内措置の具体的な検査対象月齢については、
[1]評価対象国における発生確認最低月齢が、一部の例外を除き48か月齢以上であること
[2]EUにおけるBSE発生の実績から、検査陽性牛のほとんど(約98%)が48か月齢以上と推定される
こと
[3]BSE感染牛脳組織の1g経口投与実験でのBSEプリオンの検出が投与後44か月目(48か月齢相当)
以上であること
[4]BSEプリオン摂取量が少ないほど潜伏期間が長くなる
という知見から、これを48か月齢超に引き上げたとしても、人への健康影響は無視できると判断され
ました。

○なお、2002年1月以前に出生した牛での定型BSE及び発生のほとんどが8歳以上(6~18歳)の高齢
の牛である非定型BSEの発生を把握することについては、48か月齢(4歳)超の牛を検査することによ
り十分にカバーされるものと考えられます。

○「BSE に関する基礎資料」や「Q&A」などを参考として、食品安全委員会のホームページ
http://www.fsc.go.jp/sonota/bse1601.html
においても掲載しておりますので、御参照ください。

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※BSEプリオンの侵入リスク低減措置(輸入規制)
BSE発生国からの生体牛、肉骨粉及び動物性油脂の輸入停止等

※BSEプリオンの増幅リスク低減措置(飼料規制等)
反すう動物用飼料への動物由来たん白質の使用禁止、飼料製造施設・ラインの分離等

※BSEプリオンの人への曝露リスク低減措置(食肉処理工程)
SRM(特定危険部位)の除去・焼却義務付け、脳及びせき髄を破壊するピッシングの禁止等

※出生コホート牛
コホートとは、属性(年齢、民族など)を同じくする集団、あるいは同じ外的条件(特定物質を摂取した
など)を受けた集団のことです。
出生コホート牛とは、同じ一定の期間内に生まれた牛群を意味します。

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★牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに係る食品健康影響評価に関する審議結果[2](案)についての
意見・情報の結果について
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/iken-kekka/kekka-prion25_250409.pdf
★BSEに関する情報
http://www.fsc.go.jp/sonota/bse1601.html
★プリオン評価書「牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに係る食品健康影響評価[2](2013年5月)
http://www.fsc.go.jp/sonota/bse/bse_hyoka_1305.pdf
★プリオン評価書「牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに係る食品健康影響評価」(2012年10月)
http://www.fsc.go.jp/sonota/bse/bse_hyoka_an.pdf
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