「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A

I 委員会関係

Q I-1 食中毒菌等の電子顕微鏡写真が食品安全委員会のホームページに掲載されていますが、それを利用したい。使用許可は必要ですか。

A I-1 食品安全委員会のホームページに掲載してある、他からの引用ではない情報については、出典を明記した上で内容の趣旨を変更しない利用であれば引用は可能です。
なお、利用に際しては「内閣府ホームページ利用規約」の留意事項に沿った利用をお願いしていますので、ご参照ください。
内閣府ホームページ利用規約:http://www.cao.go.jp/notice/rule.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q I-2  食品安全委員会のホームページとリンクを張りたいのですが、何か手続きが必要ですか。

A I-2  食品安全委員会のホームページは、原則自由にリンクすることが出来ます。リンクを行う際、事前のご連絡は必要ありませんが、リンクを行った場合は、こちらhttps://form.cao.go.jp/shokuhin/opinion-0654.html別ウインドウで開きます(外部サイト)までご連絡ください。なお、詳しくは、リンクについて(http://www.fsc.go.jp/sonota/about_link.html別ウインドウで開きます(外部サイト))をご参照ください。

 

Q I-3  季刊誌「食品安全」を地元の講演会の資料として使いたい。送付してもらうことは可能ですか。

A I-3  季刊誌「食品安全」は、年4回、食品安全委員会の活動や評価結果等について編集して発行しているものです。書店等での販売はしておらず、全国の図書館や保健所等に配付をしています。講演会等で資料を使う場合はホームページに掲載してあるデータをお使い下さい。
季刊誌「食品安全」:https://www.fsc.go.jp/visual/kikanshi/k_index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q I-4  子ども向けの食品安全に関する分かりやすい情報はありませんか。

A I-4  子どもとおとなが一緒に食品の安全について学び考えることができるように、食品安全委員会のホームページに「キッズボックス」コーナーを設けていますので、是非ご活用ください。
キッズボックス:http://www.fsc.go.jp/kids-box/別ウインドウで開きます(外部サイト)

II リスク評価全般

Q II-1  食品安全委員会の審議の手順を教えてください。審議にはどのくらいの期間がかかりますか。

A IIー1  食品安全委員会は、リスク管理機関【厚生労働省・農林水産省・消費者庁】から評価すべき物質の評価の要請を受けると、その物質評価に最も適する専門調査会で審議(評価)をして、評価の結果をまとめた評価書案を作成します。評価書案は「国民からの意見・情報の募集」(原則30日間)するために公開され、広く国民からの意見を聞き、情報を求めます。この結果を踏まえた検討を経て、評価結果が決定され、評価を要請したリスク管理機関に通知されます。企業申請に基づき実施される評価については、食品安全委員会においてリスク管理機関から評価要請品目についての説明を受けてから、1年以内に評価結果を通知するよう努めることとされています(審議に必要な内容の確認や追加資料の提出を待っている期間は含まれません。)。
(参考)
・食品安全委員会 リスク評価の流れ:http://www.fsc.go.jp/iinkai/別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 企業申請品目に係る食品健康影響評価の標準処理期間について:http://www.fsc.go.jp/hyouka/kigyoushinsei_kikan.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 食品健康影響評価(リスク評価):http://www.fsc.go.jp/hyouka/別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IIー2  一日摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake)は、「ヒトがある物質を一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康への悪影響が生じないと推定される量」とありますが、若い人と高齢者では食べ続ける期間の長さが違うのになぜ同じ値が設定されているのでしょうか。

A IIー2  目的をもって使用する化学物質の健康影響評価のうちの毒性評価では、実験動物等を用いたさまざまな安全性試験について評価し、各試験においてその動物に悪影響を示さない量を求めます。次に、各種の安全性試験の無毒性量のうちで最も低い無毒性量(NOAEL)を安全係数※(通常100)で除して一日摂取許容量(ADI)を算出します。
  また、体内での代謝についても調べています。化学物質ごとの特性により時間の長短はありますが、他の物質に変化したり体外に排出されたりして、本来の性質や体内の残留量は時間とともに変化、減少していきます。
  ADIはもっとも低い無毒性量から求めるので、赤ちゃんから高齢者の方まで様々な人を対象としても、有毒影響を示さないと考えられます。
  これらのことからADIは、期間の長短に関係なく「人が、毎日、一生涯、食べ続けても、健康に悪影響がでないと考えられる量」として設定されています。

 

Q IIー3  耐容一日摂取量(TDI:Tolerable Daily Intake)とは何ですか。ADIとはどう違うのですか。

Q IIー3   耐容一日摂取量(TDI)は、生涯にわたって食品とともに不可避的に経口摂取される場合でも、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量のことです。ADIが食品の生産過程で意図的に使用して食品に残存しているもの(農薬、添加物など)の指標として使われるのに対して、TDIは、意図的に使用していないのに食品に残存しているもの(重金属等)や汚染されているもの(かび毒など)のように避けられない摂取の指標として使われます。同様に一週間当たりの摂取量として耐容週間摂取量(TWI:Tolerable Weekly Intake)があります。

 

Q II-4   無毒性量(NOAEL:No Observed Adverse Effect Level)とは何ですか、どのように決め、評価にどのように使われるのですか。

A II-4  無毒性量(NOAEL)とは、動物を使ってある物質について何段階かの投与量を用いて毒性試験を行い、何ら有害な影響が認められなかった最大の投与量のことです。
 各種動物(マウス、ラット、ウサギ、イヌ等)を使った長期間投与時の毒性試験や発がん性、胎児への影響等の試験において得られた個々の無毒性量の中で最も小さい値を、ADI設定に使います。

 

Q II-5  食品添加物のADIを決める際は、動物実験の結果の無毒性量を安全係数で除して人の健康に影響がないであろうという量ADIを計算すると本で読みました。安全係数は種差10、個体差10の積の100だそうですが、これは経験値なのでしょうか?

A II-5  種差と個人差でそれぞれ1桁小さく見積もるという安全係数の考え方は、経験的なものですが、国際的なコンセンサスを得た考え方で、このマージンによる評価を見直す必要があるような知見は現在まで得られていません。なお、人間のデータがある場合は種差の係数を取らないことや、試験データの精度等によって追加係数を用いることがあり、100が定数というわけではありません。
 

III 化学物質系(添加物、残留農薬、汚染物質等)

Q III-1   食品添加物の一つ一つの安全性が確保されているとしても、様々な添加物を摂取することによる複合影響があるのではないでしょうか。

A III-1   食品安全委員会では、平成18年度に食品添加物の複合影響に関する情報収集調査(※)を行い、食品添加物の複合影響について国内外の文献を通じて科学的知見を収集・整理しました。その結果、多数の添加物が使用されていても、個々の食品添加物は安全性評価を経たうえで使用が認められており、それらを複合的に摂取しても、実際に健康影響が起こりうる可能性はきわめて低いと考えられるとの結論が得られています。現在使用が認められているもののように蓄積性がなく、ADIの考え方を基本として個別にリスク評価とリスク管理が行われている添加物は、その複合影響についても安全性が十分に確保されていると考えられます。
※食品添加物の複合影響に関する情報収集調査:http://www.fsc.go.jp/fsciis/survey/show/cho20070330001別ウインドウで開きます(外部サイト)
 また、食品安全委員会では、新しい科学的なエビデンスが得られた際には速やかに対応できるよう、世界中で行われている研究の情報を集め、随時、検討しています。


Q III-2   保存料着色料などの食品添加物が多くの食品に使用されていますが、本当に安全なのでしょうか。

A III-2   食品添加物は、食品の製造過程において、着色、保存等の目的で食品に加えられるものであり、原則として「ヒトの健康を損なうおそれのない場合」として厚生労働大臣が指定するもの以外は使用が認められていません。
 新しく指定される食品添加物については、食品安全委員会が一日摂取許容量(ADI) を設定するなどのリスク評価を行い、その結果に基づいて厚生労働省が食品添加物を指定し、食品添加物の成分規格、製造基準、保存基準及び表示基準を設定しています。
 また、現在使われている食品添加物には、このような食品安全委員会の審議を経て指定されたもののほかに、長年の食経験などから判断して認められているもの(既存添加物)もありますが、これらについては、厚生労働省において規格基準の設定や安全性試験が継続して行われています。


Q IIIー3   食用タール系色素の着色料「赤色2号」がお菓子の原材料として書いてありました。ネットでは、タール色素には発がん性があると書かれていて心配になったのですが、食べても大丈夫でしょうか。

A III-3    食用赤色2号はタール系色素の一種であり、指定食品添加物として、食品衛生法で使用基準が定められており、菓子、漬物、魚介加工品、畜産加工品などを使用対象食品としています。
 指定添加物は食品健康影響評価に基づき厚生労働大臣が指定したもので、使用できる食品や使用量の最大限度などの使用基準が決められています。また、食用タール色素については、登録検査機関による製品検査が義務付けられています。
 米国では、1976年に食用赤色2号の発がん性について安全性を確認できないとして使用禁止とされましたが、コーデックス委員会(※1)で1978年、1984年に再評価を行っており、発がん性は認められず、一日許容摂取量は0.5mg/kg体重/日に設定されました。現在米国など一部の国を除き、日本・カナダ・EUなどで使用が認められています。
 日本では、厚生労働省で毎年マーケットバスケット方式(※2)による添加物の一日摂取量調査を実施しています。食用赤色2号については平成22年度と平成24年度に20歳以上を対象とした摂取量調査を、平成21年度と平成26年度に1歳〜6歳までの乳幼児の摂取量調査を行っており、いずれの結果でも摂取量は非常に少ないことが分かりました。
 食品添加物は通常の食事から摂る量では健康影響の出ない量でリスク管理されており、実際に摂取している量は極めてわずかなので心配する必要はありません。

※1:国際食品規格委員会。1963年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格の策定等を行っている。
※2:マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査:www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/sesshu/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q IIIー4   カラメル色素は発がん性があるということですが、規制されないのでしょうか。

A III-4   カラメル色素は、糖類のキャラメル化により製造される色素で、製造法により4種類に分類されます。製造時の副生物である「4-メチルイミダゾール(4-methyl imidazole 、4-MI)という物質が、動物実験において閾値のある発がん性が疑われる知見があるとして、IARC(国際がん研究機関)が、グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)に分類しています。米国のカリフォルニア州では、独自に、化学物質の発がん性や生殖毒性について評価をしており、カラメル色素もそのリストに載せられています。EFSA(欧州食品安全機関)、FDA(米国食品医薬品庁)ではカリフォルニア州が根拠とした動物実験も含めた評価の結果、発がんの所見は遺伝毒性発がん性ではなく閾値のあるリスクであるとして、規制内の使用を求めています。日本では食経験の中で長く使用されてきた「既存添加物」に分類され、「カラメルI」〜「カラメルIV」として規格基準が設けられています。


Q III-5   アカネ色素について、食品安全委員会の評価を元に既存添加物名簿から消除され、これを含む食品の製造・販売・輸入等を禁止することになったとのことですが、その評価について教えてください。

A III-5   アカネ色素については、厚生労働大臣から平成16年6月18日付けで評価の依頼を受け、同年7月2日に食品健康影響評価の結果を取りまとめ、厚生労働大臣に通知しました。
 それは、「腎臓以外の臓器の所見等について、今後とも情報収集が必要であるが、提出された資料からは、遺伝毒性及び腎臓への発がん性が認められており、アカネ色素についてADIを設定できない。」すなわち、アカネ色素について安全に摂取できる量を示せないという結果です。
 詳細については、食品安全委員会ホームページに掲載されている評価書をご覧ください。
(参考)
・食品安全委員会 アカネ色素に係る食品健康影響評価について:http://www.fsc.go.jp/hyouka/maddercolor.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 「アカネ色素」:http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20040618015別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-6   人工甘味料が糖質ゼロを売りにしている飲料やダイエット食品に多く使われていますが、最近、人工甘味料で糖尿病のリスクが上がるというようなニュースを見ました。安全性は大丈夫なのでしょうか。

A III-6   人工甘味料として近年使われているものとしては、アスパルテーム、アセスルファムK、アドバンテームなどがあります。これらの人工甘味料は日本や欧米などで人の健康への影響を評価しており、各国で使用が認められている食品添加物です。
 2014年に、ネイチャー誌に人工甘味料で糖代謝異常が起きるという論文が掲載されました。サッカリン、スクラロース、アスパルテームの3種類で実験が行われ、サッカリンで糖代謝異常が認められたとの報告でしたが、各国の専門家が検証した結果、「極端な条件下で行われた実験の結果であり、この論文の内容がそのまま普段の食生活に影響するとは考え難い」と結論されました。
 これらの物質は一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日摂取許容量(ADI)が設定されていて、アスパルテームはJECFA(FAO/WHO合同添加物専門家会議)において0〜40mg/kg体重/日、アセスルファムKはJECFAにおいて0〜15mg/kg体重/日、アドバンテームは食品安全委員会において5.0mg/kg体重/日となっています。これを踏まえ厚生労働省が食品添加物として使用できる食品や使用量の最大限度の使用基準を定めています。
 食品添加物は通常の食事から摂る量では健康影響の出ないようにリスク管理されており、実際に摂取している量は極めてわずかなので心配する必要はありません。
 ちなみに、厚生労働省では食品添加物について日本人の平均的な一日摂取量の調査(※)を行っており、甘味料については平成27年度の調査で、アスパルテームの一日摂取量は定量下限未満、アセスルファムKについては一日摂取許容量(ADI)の0.15%となっています。

※厚生労働省 食品添加物一日摂取量の調査(甘味料):

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000140767.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-7   アルミニウムはベーキングパウダーなど食品添加物に使用されており、鍋やお玉など調理器具にも使われています。健康に悪いという話を聞いたが大丈夫なのでしょうか。

A III-7   アルミニウムは、土壌、水及び空気中に存在し、包装材料などに幅広く使用されています。国内での規制としては、水道法に基づく水道水質基準として、アルミニウム及びその化合物の量を0.2mg/l(アルミニウムとして)以下としているほか、食品添加物として、膨らし粉やミョウバンなどに使用されており、食品衛生法に基づく規格基準が設定されています。食品安全委員会では、リスク管理機関からの評価要請に関わらず対象案件を自ら選定して行う評価(自ら評価)も行っていますが、アルミニウムについては平成22年3月に自ら評価の対象案件として選定され、リスク評価を行うために必要な情報の収集を行っています。また、平成29年3月28日に食品安全委員会では、食品添加物「硫酸アルミニウムアンモニウム」及び「硫酸アルミニウムカリウム」について、厚生労働省から評価依頼を受けたところです。
  国際的には、2011年にJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)において安全性評価が行われ、耐容週間摂取量(暫定)(※)は2mg/kg体重/週とされました。
  なお、アルミニウムがアルツハイマー病の原因ではないかという説もありましたが、現在のところ、アルミニウムの摂取とアルツハイマー病の関連性についての明確な科学的な根拠はないとされています。
  また当委員会のホームページにもアルミニウムについての関連情報を掲載しているので、参考にしてください。

※ 耐容週間摂取量:人が一生涯食べ続けても健康への悪影響がないと推定される一週間当たりの摂取量
(参考)
・食品安全委員会 アルミニウムに関する情報:http://www.fsc.go.jp/sonota/alumi/alumi_201010.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

・食品安全委員会 ハザード概要シート:https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/osen_9.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

・平成28年度 第644回食品安全委員会 資料3-3 「硫酸アルミニウムアンモニウム」「硫酸アルミニウムカリウム」の規格基準の改正に関する食品健康影響評価について:https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20170328fsc別ウインドウで開きます(外部サイト)
・(独)国立健康・栄養研究所 アルミニウムとアルツハイマー病の関連情報:http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail970.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

・厚生労働省 アルミニウムに関する情報 食品中のアルミニウムに関する情報:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/aluminium/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q III-8   農薬等のポジティブリスト制度とは何ですか。この制度導入により何が変わったのですか。

A III-8   農薬等のポジティブリスト制度は平成18年5月から導入されており、同制度が導入される前は、残留基準(※)が設定されていない農薬、動物用医薬品及び飼料添加物(以下「農薬等」)が食品から検出されても、その食品の販売等を禁止するなどの措置を基本的に行うことができませんでした。しかし、ポジティブリスト制度の導入により、すべての農薬等が規制の対象になり、これまで残留基準が設定されていなかった農薬等についても農産物ごとに国際基準等を参考に新たに暫定的な残留基準(暫定基準)が設定されました。また、個別に残留基準が設定されていないものについては一定の量(一律基準:0.01ppm)を定め、規制されることとなりました。暫定基準が定められた農薬等については、厚生労働省からの評価要請を受けて、食品安全委員会による評価が順次進められており、この評価結果に基づく暫定基準の見直しが進められています。

※ 残留基準
食品衛生法において定められる、適正に使用された場合の残留値やヒトへの健康影響がないことを考慮して設定される農薬などの濃度の上限値


Q III-9   農薬の毒性を表す指標としてARfDという数値が計算されるようになりましたが、これは何ですか?

A III-9   ARfDというのは「急性参照用量(Acute Reference Dose)」の略語です。農薬の24時間又はそれより短時間の経口摂取により、ヒトの健康に悪影響を示さないと推定される摂取量のことです。

(参考)
・ 農薬の急性参照用量設定における基本的考え方についてhttp://www.fsc.go.jp/senmon/nouyaku/kettei_tou/07_nouyaku_arfd.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-10   メチル水銀が魚に多く含まれていると聞きましたが、食べても大丈夫でしょうか。

A III-10   魚介類の体内には自然界の食物連鎖を通じて微量のメチル水銀が蓄積されています。その含有量は一般に低いので健康に害を及ぼすものではありませんが、クジラやマグロ等の一部の魚介類については、食物連鎖を通じた濃縮を経てメチル水銀濃度が比較的高いものも見受けられます。
  メチル水銀は、体内に入った後、消化管から血中へと吸収され、肝臓や腎臓を経由して糞尿として排泄されるほか、毛髪にも含まれて体外に出されます。妊婦の場合は、体内に入ったメチル水銀の一部が胎盤を通過して胎児に移り、その胎児の機能的発育に影響を及ぼす可能性があります。
  食品安全委員会では、平成17年8月に「魚介類等に含まれるメチル水銀についての食品健康影響評価」をとりまとめました。その中で、胎児をハイリスクグループとし、妊婦が1週間に摂取しても胎児に影響を及ぼさない量(耐容週間摂取量)を、妊婦の体重1kg当たり水銀として2.0μgとしました。
  この評価を受けて、厚生労働省から妊婦に向けて魚介類の摂食量についての注意喚起が出されています。一般的に、魚介類に含まれるメチル水銀濃度は、0.4ppm(mg/kg)以下ですが、食物連鎖の高い位置をしめる魚類の一部では、5ppmを超えることもあり、高齢、大型の肉食性の種類の魚やクジラ類は、比較的高濃度のメチル水銀を含んでいることから、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロなどは一回に食べる量を80gとして、妊婦の方は1週間に1回までを目安に食べることを勧めています。
 魚介類は良質なタンパク質や健康に良いと考えられるEPAやDHA等の高度不飽和脂肪酸を他の食品に比べて多く含むとともに、カルシウムなどのミネラル、微量栄養素の摂取源でもあり、健康な食生活にとって不可欠な栄養上の特性を持っていますので、積極的に食べてほしい食材です。妊婦のみなさんは、魚の種類などに気を付けて、バランスの良い食生活を送ってください。なお、男性や妊娠していない女性におかれては、これらの魚種であっても通常の食べ方をして差支えありません。

(参考)
・ 食品安全委員会 お母さんになるあなたへ(平成23年4月8日更新):http://www.fsc.go.jp/sonota/maternity/maternity.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・ 厚生労働省「お魚について知っておいてほしいこと」:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/051102-2a.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・ 食品安全委員会 食品健康影響評価「魚介類等に含まれるメチル水銀について」:http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kya20040723175&fileId=06_001_002別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-11   ヒ素について、日本人は、米や海藻等の食品から摂る量が多いと聞きました。米や海藻を食べても大丈夫なのでしょうか。

A III-11   ヒ素は、火山活動や鉱物の風化などの自然現象や、金属精錬、廃棄物処理などの産業活動から環境中に放出されます。ヒ素には、炭素を含む有機ヒ素化合物と含まない無機ヒ素化合物があり、両者とも土壌、地下水に自然に存在します。ヒ素は魚介類では主として有機ヒ素として存在しています。米や海藻には有機ヒ素のほか、無機ヒ素も含まれています。無機ヒ素は神経毒性、皮膚病変、がん等を引き起こす可能性が報告されています。有機ヒ素については、ヒトへの影響に係る知見がほとんどありません。
  食品安全委員会では、平成25年に「食品中のヒ素」について評価を実施しました。その結果、最新の科学的知見によっても解明できない要因がまだ多く、有害性評価に必要な知見が不足している一方で、わが国では伝統的に海藻等を食べる食習慣があり、推定無機ヒ素摂取量は少なくないにもかかわらず、通常の食生活におけるヒ素の摂取が健康に悪影響を与えたことを明らかに示すデータは確認されていないことが確かめられました。これらのことから、どのくらいの量の無機ヒ素が食品を通じて体内に入った場合に健康への影響が生じるか、見積もることは現時点では困難であると判断されました。
  現在のところ、海産物や米を食べることも含めて、特定の食品に偏らずさまざまな食品をバランスよく食べていれば、食生活におけるヒ素の摂取に問題はないと考えられています。また、我が国では伝統的に海藻をいったん乾燥させ水戻しして食べますが、この調理法も戻し水にヒ素を溶出させてその水を捨てることで、ヒ素の摂取量低減に効果的であると考えられます。

(参考)
・食品安全委員会 化学物質・汚染物質評価書 「食品中のヒ素」:

http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kya2009031900k&fileId=503別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 食品中のヒ素 Q&A:http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kya2009031900k&fileId=710別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会e-マガジン【読み物版】 食品中のヒ素その1:http://www.fsc.go.jp/sonota/e-mailmagazine/e-mailmagazine_h2606_r1.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

・食品安全委員会eーマガジン【読み物版】食品中のヒ素その2:http://www.fsc.go.jp/sonota/e-mailmagazine/e-mailmagazine_h2606_r2.html別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-12   牛を早く太らせるためにホルモン剤を使っていて、その肉を食べるとそのホルモン剤を摂取することになると言われていますが、本当ですか。

A III-12   どのような薬でも、使用されて効果を現す過程で分解・代謝され、最終的には体の外に排泄されます。動物に使われる薬も同じです。効果を得るために必要な量を使い、使用された動物から生産される食品に、基準を超える濃度の動物薬が残留していることがないよう、畜産動物に用いる薬には対象畜種、投与量、休薬期間が設定されています。
  海外では、いくつかのホルモン剤が、牛の飼料効率の改善や増体重に効果があるとして動物に使用されています。わが国では、繁殖障害の治療のために用いるホルモン剤が承認されています。食品中の残留基準は人体に影響を及ぼさないように決められており、基準を超える濃度の薬剤を含む畜肉は食肉として流通させることができません。日本で食肉として流通する際に適用される動物用医薬品の残留基準は、国産・輸入を問わず同じ規制が行われています。

(参考)
・食品安全委員会 ファクトシート「牛の成長促進を目的として使用されているホルモン剤(肥育ホルモン剤)」:http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-cowhormone.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省 牛や豚に使用される肥育促進剤(肥育ホルモン剤、ラクトパミン)について(Q&A):http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000150442.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-13   牛乳は、牛を早く大きくするための成長ホルモン剤や抗生物質などが投与された牛の乳なので健康に悪いと聞いたのですが、本当ですか。

A III-13   家畜に動物用医薬品を使用するときには、使用された動物から生産される食品に、基準を超える濃度の動物用医薬品が残留しないよう、農林水産省で動物用医薬品に対して家畜の生産段階での使用基準や休薬期間が設けられています。また、食品中の動物用医薬品には厚生労働省で残留基準が決められています。厚生労働省が動物用医薬品の食品への残留基準を設定する際や、農林水産省が動物用医薬品の承認や再審査などをする際には、食品安全委員会は厚生労働省や農林水産省から評価要請を受けて、実験動物等を用いた毒性試験や海外の評価機関における評価結果など科学的な知見を参考に食品健康影響評価を行います。その評価結果に基づいて動物用医薬品のリスク管理措置が講じられています。

  我が国では、成長ホルモン剤は承認されていません。抗生物質については農林水産省が設定した使用基準に沿って使用されることとなっており、乳房炎、肺炎などの治療に限定されています。また、乳や畜肉について、厚生労働省では動物用医薬品の残留基準が設定されていて、抗生物質は「不検出」とされています。牛乳はカルシウムなどのミネラルやビタミンB群が豊富で栄養バランスの取れた食品です。心配する必要はありません。

(参考)
・厚生労働省 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令
  附則 (平成二八年六月八日厚生労働省令第一〇九号):http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26F03601000052.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・文部科学省日本食品標準成分表 2015年版(七訂)追補 2016年:http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1381223.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 


Q III-14   トランス脂肪酸が含まれているので、マーガリンは食べないほうが良いと言われました。毎日パンに付けて食べると健康に影響がありますか。

A III-14   食品安全委員会ではトランス脂肪酸の健康影響評価を行いました。諸外国における研究結果で、トランス脂肪酸の過剰摂取は、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)を増加させる可能性が高いとの報告もあり、WHO(世界保健機関)では、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満とすべきと勧告(目標)基準を定めています。
  日本人のトランス脂肪酸の摂取量の平均値は一日当たりの総エネルギー摂取量の0.3%程度で、大多数は、WHOの目標を下回っており、通常の食生活では、健康への影響は小さいと考えられますが、脂質に偏った食事をしている人は、留意する必要があります。

(参考)
・食品安全委員会 食品健康影響評価書 「食品に含まれるトランス脂肪酸」:http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20120308001別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価の状況について:http://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/trans_fat.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 季刊誌vol.30 「トランス脂肪酸のリスク評価」:http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/30gou/30gou_2.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 季刊誌vol.44 「食品に含まれるトランス脂肪酸」:http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/44gou/44gou_04.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-15   アクリルアミドという物質に発がん性があり、加熱した野菜にも含まれているという報道を見てびっくりしました。今まで健康のために野菜を一生懸命食べてきたのに、これからどうしたらよいのかわかりません。

A III-15   アクリルアミドは、揚げる、焼く、炒めるなど120℃以上の高温調理時に、食品中に元々含まれるアミノ酸の一種であるアスパラギンとブドウ糖や果糖などの還元糖が反応して生成します。
  食品安全委員会では、「加熱時に生じるアクリルアミド」の食品健康影響評価を行い、日本人における食事由来のアクリルアミド摂取による神経に対する影響など発がん性以外の健康への影響については、「極めてリスクは低い」と判断しました。発がん性については、ヒトを対象とした研究でアクリルアミド摂取量とがんの発生率との関連に一貫した傾向はみられていないことから、ヒトにおける健康影響は明確ではないが、動物実験の結果及び日本人の推定摂取量に基づき、「公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えない」と判断しました。
  このことを踏まえ、ALARA(As Low As Reasonably Achievable)(※)の原則にのっとり、「できる限りアクリルアミドの低減に努める必要がある」としました。
  アクリルアミドは、家庭において調理方法などを工夫することにより、その摂取量を低減することが出来ますし、食品中のアクリルアミド低減に積極的に取り組んでいる食品事業者もあります。

 野菜にがんの発生を抑制する効果があることは多くの研究から知られていることです。体に必要なビタミン・ミネラルの重要な供給源である野菜を食べないということは食事のバランス面からもよくないことでしょう。調理方法に工夫をして食材をバランスよく摂ってみましょう。

※ ALARAの原則    食品中の汚染物質を合理的に達成可能な範囲でできる限り低くするとの考え方。

(参考)
 ・食品安全委員会・加熱時に生じるアクリルアミドに関連する情報 (平成28年4月5日):https://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 ・食品安全委員会 季刊誌vol,47 p2〜3「加熱時に生じるアクリルアミド」の食品健康影響評価について:https://www.fsc.go.jp/visual/kikanshi/k_index_back_number_47.data/anzen47_HP_02_03.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
 ・食品安全委員会セミナー「加熱時に生じるアクリルアミドの食品健康影響評価及び低減対策について」:https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20160303ik2別ウインドウで開きます(外部サイト)
 ・農林水産省 食品中のアクリルアミドに関する情報:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-16   毎日、子どもに豆乳を牛乳の代わりに200ml飲ませていますが、大豆イソフラボンの過剰摂取も健康を害する可能性があると聞き、大人の1日の上限摂取量が75mgと知りました。大人で75mgだったら2歳の娘はどのくらいまでならとっても大丈夫でしょうか。また夏場は家族一同、枝豆が大好物で毎日食べていますが、枝豆も子どもにはあまり食べさせないほうがよいでしょうか。

A III-16   大豆イソフラボンは植物エストロゲンの一種と言われ、その化学構造が女性ホルモンであるエストロゲンに似ているため、エストロゲン受容体に結合することから、促進的あるいは競合的に種々の生体作用を発揮するとされています。
  食品安全委員会が平成18年にとりまとめた評価結果では、閉経前女性(15〜59歳)、閉経後女性(50歳以上)及び男性(15歳以上)については、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値は、大豆イソフラボンアグリコン(※)として70〜75mg/日としています。また、閉経前女性、閉経後女性及び男性について、日常の食生活に加えて、特定保健用食品により摂取する大豆イソフラボンの摂取量が、大豆イソフラボンアグリコンとして30mg/日の範囲に収まるように適切にコントロールを行うことができるのであれば、安全性上の問題はないものと考えられるとしています。そして乳幼児及び小児(15歳未満)における大豆イソフラボンの摂取による生体への影響については、安全性上の量的な目安を科学的に判断することはできず、乳幼児及び小児については、特定保健用食品として大豆イソフラボンを日常的な食生活に上乗せして摂取することは、安全性が明確でないかぎり、推奨できないと考えられるとしています。
  食品安全委員会では特定保健用食品以外の個別の食品(豆乳を含む)について評価していないため、ご質問の豆乳を2歳児がどのくらいまでならとっても大丈夫かを示すことはできません。
  厚生労働省のホームページでは、豆腐、納豆、煮豆、みそなどの「伝統的な大豆食品」については、子どもが大人と同様に、日常の食生活の中で他の食品とともにバランスよく食べることに気をつければ、心配する必要はないとされています。枝豆については、好きだからという理由で同じものばかりを食べ続けさせるのではなく、様々な食材を組み合わせてはいかがでしょうか。

※ アグリコン
大豆や大豆食品中に含まれる大豆イソフラボンは、主に配糖体として存在していますが、糖部分が分離したものはアグリゴンといい、伝統的な大豆発酵食品中に含まれます。また、ヒトが摂取した大豆イソフラボン配糖体は、腸内細菌の作用等により、大豆イソフラボンアグリコンとなり、腸管から吸収されます。

(参考)
・大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的考え方:https://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-singi-isoflavone_kihon.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 特定保健用食品評価書 「イソフラボンみそ」:http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20070419034別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 特定保健用食品評価書「オーラルヘルスタブレット カルシウム&イソフラボン」:http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20071024081別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 特定保健用食品評価書「大豆イソフラボン40」:http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20070419035別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(平成18年5月16日更新):https://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(平成18年8月23日更新):http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0202-1a.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

・農林水産省 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(平成24年2月3日更新):http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_daizu_qa/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-17   カフェインが多く含まれている飲料が最近販売されていますが、子どもが飲んでも大丈夫でしょうか。カフェインに関する情報があれば教えてください。

A III-17   カフェインはコーヒーやココアの豆、茶葉等に天然に含まれている食品成分の一つであり、長い食経験があります。カフェイン(抽出物)は、厚生労働省の既存添加物名簿に掲載され、コーラなどの清涼飲料水などに苦味料として使用することが認められています。エナジードリンク中にも、一缶あたり約90〜180mgのカフェインが含まれている製品があります。
  カフェインはIARC(国際がん研究機関)(※)で、ヒトに対して発がん性があるとは分類できないグループ3に属する物質として評価されています。
  アルコールとカフェイン入りのエナジードリンクを一緒に飲むと、アルコールの酔いをカフェインによる興奮作用が覆い隠してしまうのと、利尿作用があり、気づかぬうちに脱水状態になってしまうので注意が必要です。妊婦もカフェインの摂取により、胎児の発育を阻害する可能性があります。FSA<英国食品安全庁)では妊婦は200mg/日を限度にするよう勧めています。
  カフェインは経口摂取された後、速やかに体内に吸収されますが、健康な成人では4〜6時間で半分が尿中に排出されます。しかし、子どもはカフェインを分解する酵素の活性が大人ほどないので、小学生のころまではコーヒーやエナジードリンクをあまり飲ませない方がよさそうです。
※ IARC(国際がん研究機関)  
WHO(世界保健機関)の一機関。世界の発がん状況の監視、発がん原因物質の特定、発がん物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的に、化学物質やウイルス等発がんのハザード評価、公表を行っている。

(参考)
・食品安全委員会 食品中のカフェイン(ファクトシート)《作成日:平成23年3 月31 日》:http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/caffeine.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会セミナー「カフェインは危ない? 〜コーヒーを科学する〜」:https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20141002ik1別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-18   現在妊娠中であり、βカロテンが含まれているビタミン剤を飲んでいるのですが、ビタミンAの過剰摂取による胎児への影響の話を聞き、心配になりました。

A III-18   β-カロテンはビタミンAの前駆体ですが、ビタミンAが体内に過剰に存在するときにはビタミンAには変換されず、そのまま主に脂肪細胞に貯蔵されるか、もしくは排出されます。なおビタミンAは脂溶性ビタミンであり、脂肪とともに小腸粘膜の上皮細胞から吸収され、肝臓に貯蔵されます。
  ビタミンAの過剰摂取について問題となるのは、サプリメントによる過剰摂取です。過剰となるのは、サプリメントとして毎日多量のビタミンAを摂ったり、偏った食生活を送ることであり、そのような食生活でなければ心配する必要はないので、バランスのよい食事を心掛けてください。当委員会ホームページ内の「お母さんになるあなたへ」や、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の「妊娠中の食事とサプリメントについて」にQ&Aが掲載されているので、参考にしてください。また、妊娠中の栄養面についてさらにご心配であれば、かかりつけの医療機関の医師や栄養士にご相談ください。

(参考)
・食品安全委員会「お母さんになるあなたへ」:http://www.fsc.go.jp/sonota/maternity/maternity.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 ファクトシート ビタミンA(平成24年9月26日更新):http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-vitamin-a.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-19   現在妊娠中なのですが、週に数回は缶詰を使った料理を食べています。缶詰に含まれるビスフェノールAという化学物質が胎児に悪影響があるのではないかと心配しています。

A III-19   ビスフェノールA(BPA)は、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂の原料として使用されている物質です。ポリカーボネート製の食器や缶詰の内面塗装剤にエポキシ樹脂が使われている場合、食事を通じて体内に取りこまれる可能性があります。BPAについては、食品衛生法に基づきポリカーボネート製器具及び容器包装からの溶出試験規格2.5μg/mL以下が設定されています。
  また厚生労働省から、低用量摂取での胎児や乳幼児への影響の可能性についての評価依頼があり、器具・容器包装専門調査会では中間的な取りまとめが行われ、「現時点での知見からは耐容一日摂取量(TDI)を設定することは困難であるが、今後新たな知見が得られた時点で再度検討を行うこと」としました。

(参考)
・食品安全委員会「お母さんになるあなたへ」:http://www.fsc.go.jp/sonota/maternity/maternity.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省 ビスフェノールAのQ&A(平成22年1月15日更新):http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

Q III-20   ハムやソーセージ等に発色剤として使用されている食品添加物の亜硝酸ナトリウムは、食肉や魚卵・魚肉等に含まれるアミンと結合すると発がん物質を生じると聞きました。硝酸塩は野菜にも含まれていると聞いたのですが、食べても大丈夫なのでしょうか。

A III-20   亜硝酸ナトリウムは、安定した食肉の色を保持する効果があるだけでなく、ボツリヌス菌の繁殖を抑え、食肉製品の腐敗を防止する効果のある添加物として知られています。食品添加物として使用するための成分規格や使用基準(対象食品、最大限度量)が食品衛生法で定められています。
 硝酸塩は、植物がタンパク質を合成するために必要とする物質のひとつで、土壌中に天然に存在し、肥料としても使用される窒素化合物です。そのため、硝酸塩は野菜の中にも含まれていて、ホウレンソウや春菊、サラダ菜等の葉菜に多く含まれることが分かっています。野菜中の硝酸塩は茹でるなどの調理により、3〜4割減少すると期待できます。
  野菜に含まれる硝酸塩は、ヒトの体内で消化管内に常在している微生物によって還元されて亜硝酸塩に変化する可能性があり、メトヘモグロビン結晶(※1)や発がん物質のニトロソ化合物(ニトロソ基-NOをもつ有機化合物)生成に関与するおそれがあると一部で指摘されています。国際がん研究機関(IARC)(※2)では、人の体内でニトロソ基(- NO)が物質に付加される条件下で、硝酸塩、亜硝酸塩ともに「人に対しておそらく発がん性がある」と評価しています。
  国際連合食糧農業機関(FAO) /世界保健機関(WHO)合同食品添加物専門家会議(JECFA) は、「硝酸塩の主要な摂取源が野菜であることはわかっているが、野菜が人にとって有用だということもよく知られており、野菜中の硝酸塩がどの程度血液に取り込まれているのかというデータが得られていないことから、野菜中の硝酸塩について基準値を設けるのは適当でない」との見解を示しています。    
  我が国でも硝酸塩については、元々野菜に含まれている天然の硝酸塩に起因するものがほとんどであり、添加物に由来するものはごくわずかであることが、厚生労働省の調査で確認されています。天然由来の食品に含まれる硝酸塩については基準値の設定はありませんが、野菜は有用な食品であり、野菜中の硝酸塩について国内における健康被害は報告されていません。
※1 メトヘモグロビン血症
赤血球中で酸素を運ぶヘモグロビンが酸素を運べないメトヘモグロビンに変化する割合が高くなった状態。脱力、チアノーゼ、呼吸困難などの症状が現れる。 

※2 IARC(国際がん研究機関)  
WHO(世界保健機関)の一機関。世界の発がん状況の監視、発がん原因物質の特定、発がん物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的に、化学物質やウイルス等発がんのハザード評価、公表を行っている。

(参考)
・食品安全委員会 ファクトシート 「本来的に食品に含まれる硝酸塩(概要)」(平成25年9月3日更新):https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/f04_nitrate.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会季刊誌食品安全 vol.31 p4「野菜などに含まれる硝酸塩のファクトシートご紹介」:https://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/31gou/31gou_4.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・農林水産省 野菜等の硝酸塩に関する情報:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/syosanen/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-21   「塩」は生きるために必要だと言われますが、健康にどのように作用しているのですか。

A III-21  「塩」は、塩化ナトリウム(NaCl)を主成分とする調味料で、海水あるいは岩塩からの精製によって生産されます。昔から海に囲まれた日本では、海水から塩を作っていました。法律(塩事業法)による定義では、「塩」とは、塩化ナトリウムの含有割合が40%以上の固形物をいいますが、実際に市販されている塩は、塩化ナトリウムの含有割合が90%以上のものが多く、ほかに、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどが微量に含まれています。
  私たちが摂取した塩分(塩化ナトリウム(NaCl))は、体内でナトリウムと塩素に分かれて吸収されます。ナトリウムの体内分布は、その約50%が「細胞外液」と呼ばれる細胞の外側にある液体(主に血液中で液状の成分である血漿(けっしょう))に存在し、次いで約40%は骨に含まれています。
 ナトリウムが私たちの体内で果たしている主な役割は二つあり、細胞の浸透圧を維持することと、神経伝達や心筋の収縮に作用しています。また、塩素もナトリウムとともに細胞外液にあって浸透圧の調整に作用するほか、胃液として食物の消化を助ける等の働きをしています。
 このように、食塩は私たちの体の健康の維持のためにはなくてはならないものです。反面、過剰な摂取は高血圧につながり、高血圧は種々の健康障害をもたらします。私たちは、現在、平均的に1日に10〜11g程度の食塩を摂っており、「日本人の食事摂取基準」における目標値(7〜8g)を上回っています。
  「減塩しお」と呼ばれ市販されている減塩タイプとされる塩のなかには、ナトリウムの摂取を減らすために塩化ナトリウムの含有割合を50%以下にとどめ、その分カリウムの含有割合を高くしているものもあります。しかし、カリウムの摂取はナトリウムの代謝にとって拮抗的に働くことから、腎臓の良くない方は、心臓障害を防ぐためにカリウムの摂取を制限しなければならない場合があり、注意が必要です。
  カリウムを多く含む野菜や果物の摂取はナトリウムの排泄を増やすことになりますので、バランスの良い食事をとることが大切です。

(参考)
・食品安全委員会;「食品を科学する−リスクアナリシス(分析)連続講座」 平成27年度第4回「塩と健康〜あなたの塩分摂取量は大丈夫?〜」
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20151105ik1別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省;「日本人の食事摂取基準(2015年版)」:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/syokuji_kijyun.html別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-22   IARC(国際がん研究機関)(※)が、加工肉を「ヒトに対して発がん性がある」、赤肉(red meatを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」に分類したとのニュースを見ましたが、どのような評価を行っているのですか。また、赤肉や加工肉とはどういう肉のことですか。

A III-22   2015年10月26日に、IARC(国際がん研究機関)は、10か国の22人の専門家たちが800以上の科学文献を評価して、加工肉は毎日50グラム食べると大腸がんになるリスクが18%増えるとして、グループ1(ヒトに対して発がん性がある)に、赤肉は主に大腸がん(膵臓がんと前立腺がんとの関連も指摘)の関連からグループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に、それぞれ発がん性の分類を行ったと発表しました。
  ただし、この分類はその物質に発がん性を示す根拠があるかどうかを重視しており、毒性影響の強さやどのくらい摂取されているかという定量的な評価はあまり考慮されておらず、リスクの大きさを示したものではありません。
  ここでいわれている赤肉は、牛肉、豚肉、羊肉、馬肉など哺乳動物の肉のことで、赤身肉のことではありません。また、加工肉は、肉を塩蔵、発酵、燻製加工したもので、ソーセージ、ハム、コンビーフ、ビーフジャーキーなどを指しています。
  食品安全委員会としては、今回の発表に対しては、元となったデータの交絡要因(様々な関連する要因)を考慮することが必要で容易に結論が出せるものではないと考えています。なお、日本人の赤肉・加工肉の摂取量は世界的に見ても少なく、平均的摂取の範囲であれば大腸がんのリスクへの影響はほとんど考えにくいといえます。
  赤肉には、タンパク質やビタミンB,鉄、亜鉛など健康維持に有用な成分もたくさん含まれています。肉だけでなく植物繊維を含む野菜や豆類、魚なども含めて、いろいろなものをバランスよく食べることが大切です。

※ IARC(国際がん研究機関)  
WHO(世界保健機関)の一機関。世界の発がん状況の監視、発がん原因物質の特定、発がん物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的に、化学物質やウイルス等発がんハザードの評価、公表を行っている。

(参考)
・食品安全委員会 「レッドミートと加工肉に関するIARCの発表についての食品安全委員会の考え方」:https://www.fsc.go.jp/fscj_message_20151130.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・IARC(国際がん研究機関)HP:http://www.iarc.fr/en/media-centre/iarcnews/pdf/Monographs-Q&A_Vol114.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-23   食品中の放射性物質について、食品安全委員会が行った食品健康影響評価の内容について教えてください。

A III-23   食品安全委員会では、食品中に含まれる放射性物質について平成23年に食品健康影響評価(リスク評価)を行いました。その結果として、放射線による健康への影響があるのは通常の生活において受ける放射線量(自然放射線や医療被ばくなど)を除いた生涯における追加の累積の実効線量がおおよそ100mSv(ミリシーベルト)以上と判断しました。そのうち小児の期間については、感受性が成人より高い可能性があるとしました。この値は、食品から追加的な被ばくを受けた場合の健康影響を評価したものです。しかしながら、その根拠となった科学的知見については、内部被ばくのみの知見が極めて少なかったことから、食品健康影響評価に採用できると判断された外部被ばくを含んだ疫学データも用いました。ただし、内部被ばくと外部被ばくを合計したリスクの評価をしたものではありません。また、おおよそ100mSvという値は実際の被ばく量に適用されるものです。
  このため、得られた科学的知見からは、追加の累積の実効線量として100mSv未満の健康影響について言及することは困難でした。
 なお、今回の食品健康影響評価で示した「おおよそ100mSv」という値は、安全と危険の境界(閾値)ではなく、この数値を超過した場合に健康影響が必ず生じるという数値でもありません。

(参考)
・食品安全委員会 食品健康影響評価 「食品中に含まれる放射性物質」:http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20110320797別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 食品中の放射性物質に関する情報:http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/radio_hyoka.html別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-24   食品中の放射性物質の基準値はどのように決められたのですか。

A III-24   基準値は、食品から追加的に受ける放射線の総量が年間1mSv(ミリシーベルト)を超えないようにとの考えの下に、4つの食品区分で設定されています。「飲料水」は、全ての人が毎日摂取するもので代替ができず、その摂取量も大きく、WHO(世界保健機関)が飲料水中の放射性物質の指標値を示していること等から、これと同じ値である10Bq(ベクレル)/kgとしました。
  この飲料水の基準値に、標準的なWHOの飲料水摂取率(2リットル/日)を勘案すると、飲料水から追加的に受ける放射線量は年間約0.1mSv(ミリシーベルト)と計算されます。
  飲料水以外のものについては、「一般食品」、「乳児用食品」、「牛乳」に分けています。また、これらの食品から追加的に受ける年間放射線量が年間1mSvの基準から、飲料水による線量(約0.1mSv/年)を差し引いた約0.9mSvを超えないように設定しました。なお、加工食品も含む一つの区分として「一般食品」としたのは、
  (1) 個人の食習慣の違い(ご飯好き、パン好き、肉好き、野菜好き等摂取する食品の偏り)の影響を最小限にすること、
  (2) 消費者にとって分かりやすいこと、
  (3) 食品の国際規格基準を策定するコーデックス委員会等の国際的な考え方と整合すること
を考慮したためです。
  年齢や性別の違いによる食品の摂取量と放射性物質の健康に与える影響を考慮して、食品中の放射性物質の限度値を割り出し、その中で最も厳しい限度値から、一般食品の基準値を100Bq(ベクレル)/kgと決定しました。
  なお、食品中の放射性物質に関する基準値は、基準値上限の放射性物質を含む食品を食べ続けた場合でも、健康に影響を及ぼさない状況を想定して設定しています。流通している食品の放射性物質は基準値上限よりも少なくなっていますので、実際に食品から追加的に受ける放射線量は基準値よりずっと小さい値となっています

(参考)    
・消費者庁 食品中の放射性物質に関する広報の実施について:http://www.caa.go.jp/jisin/food_s.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・環境省の統一的基礎資料:http://www.env.go.jp/chemi/rhm/h27kisoshiryo.html別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-25   食品中の放射性物質の検査の結果はどうなっていますか。

A III-25   食品中の放射性物質の検査については、原子力災害対策本部が定めたガイドラインに基づき、過去の検査結果を踏まえて各都道府県が出荷前にモニタリング検査を行っています。検査結果は厚生労働省や各自治体のウェブサイト等で公表されています。
農畜産物に含まれる放射性物質は、年々減少しています。平成25年度以降の検査結果では、畜産物についても、全て基準値以内でした。より詳細な情報は下記の参考をご参照ください。

(参考)
・厚生労働省 食品中の放射性物質への対応:http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-26   放射性セシウム以外の放射性核種への対策はどうなっていますか。福島原発の井戸からストロンチウムが検出されているとのことですが、国はセシウムだけでなく他の核種もリスク評価してほしいです。

A III-26   平成24年に厚生労働省が食品中の放射性物質(セシウム)の新しい基準値を定めて施行しました。その際に食品安全委員会は食品中に含まれる放射性物質について食品健康影響評価を行っています(Q32参照)。基準値は放射性ストロンチウムの影響も考慮されています。個別の核種としては、評価当時に厚生労働省により暫定規制値が定められていた放射性核種(放射性ヨウ素、放射性セシウム、ウランなど)及び放射性ストロンチウムについて検討しましたが、ウラン以外では個別に評価結果を示すに足る情報は得られませんでした。ウランについては、放射線による健康影響より化学物質として毒性の方がより鋭敏に現れることが分かりました。
  厚生労働省では、平成24〜26年にかけて全国各地で実際に流通する食品を購入し、そのままの状態又は加工・調理した後の放射性物質濃度を精密に測定しました(マーケットバスケット方式)。調査の結果によれば、放射性セシウム(Cs-134とCs-137の合計)濃度が0.5Bq(ベクレル)/kg以上となった試料のうち、放射性ストロンチウムが検出されたのは、67試料測定中37試料で、その濃度はいずれも低値であり、2011年に起きた東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以前の範囲内でした。
  併せて、平成24年に一般家庭で実際に調理された食事を収集し、含まれる放射性物質濃度を精密に測定しました(陰膳方式)。63試料中36試料で、その濃度は事故以前と同程度でした。

(参考)
・厚生労働省 東日本大震災関連情報:http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q III-27   芽止めのために放射線を照射されたばれいしょ(ジャガイモ)が販売されていますが、大丈夫でしょうか。

A III-27   発芽防止の目的でばれいしょ(ジャガイモ)に放射線を照射することは、食品衛生法に基づく規格基準で認められています。
 食品安全委員会では食品の安全性関係の情報を収集していますが、これまでに我が国でばれいしょに放射線を照射したことを原因とする健康被害の情報や安全性に懸念があるといった情報は、現時点では入手していません。
  なお、我が国の食品衛生法に基づく規格基準で認められている吸収線量は150グレイ(Gy)(※)(=0.15キログレイ(kGy)であり、WHO(世界保健機関)が食品に照射しても安全性に問題がないとしている吸収線量10キログレイ(kGy)より低いレベルに抑えられています。
 放射線を照射された食品に対する情報については以下をご参照下さい。今後も放射線照射食品に関しては、情報収集を継続するとともに、その情報を広く提供したいと考えております。

※ グレイ(Gy)
放射線が物質に当たったときに、その物質にどのくらいのエネルギーを与えたのかを表す単位

(参考)
・食品安全委員会 放射線照射食品に関する情報:https://www.fsc.go.jp/sonota/hoshasen/hosha_index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・原子力委員会 食品照射専門部会:http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/syokuhin/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省 食品への放射線照射について:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/housya/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

IV 生物系物質

Q IV-1   牛海綿状脳症(BSEとはなんですか。

A IV-1   牛海綿状脳症(BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy)とは、牛の病気の一つです。「BSEプリオン」(※1)と呼ばれる病原体が、主に牛の脳に蓄積し、脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などを示し、死亡するものです。感染経路は、BSE感染牛を原料とした肉骨粉を牛の飼料として使ったことが原因と考えられており、BSEプリオンが、主に牛の脳に蓄積することにより発症します。1986年にイギリスで初めて発見され、世界での発生のピークは1992年の37,326頭でその後BSE対策の進展より発生件数は減少し、2016年の発生件数は欧州での1頭のみです。
  日本では2001年9月に初めてBSE感染牛が確認され、2009年1月までに36頭が確認されました。厚生労働省及び農林水産省で、飼料規制や牛のと畜の際の特定危険部位 (SRM)(※2)の除去など、さまざまな対策をとり、これらにより、国内では、2002年1月に生まれた1頭を最後に、以降14年間に出生した牛にBSEの発生は確認されていません(2017年1月現在)。
  BSEの人への影響については、1995年に、英国で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)(※3)患者が初めて確認され、vCJDはBSEとの関連性が示唆されています。

※1 BSEプリオン    BSEの原因と考えられている異常プリオンたん白質。
※2 特定危険部位 (SRM)   BSEの病原体と考えられている異常プリオンたん白質が蓄積しやすい部位のこと。食品として利用することが禁止されている。
※3 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 (vCJD)
  人のプリオン病のひとつで、人間の脳に海綿(スポンジ)状の変化を起こす病気。BSE感染牛由来の食品を介して人に感染する可能性があると考えられている。
(参考)

・食品安全委員会「BSEに関する基礎資料【2016年8月】」:https://www.fsc.go.jp/senmon/prion/bse_information.data/bse_information_kisosiryou.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・農林水産省 世界のBSE発生件数の推移:http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/bse/pdf/bse_world_graph.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省 牛海綿状脳症(BSE)について:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bse/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-2   牛海綿状脳症(BSEの国内対策について、食品安全委員会での最新の評価はどのようなものですか。

A IV-2   食品安全委員会は、厚生労働省からBSEの国内対策の見直しについて諮問を受け、平成28年年8月、「現在と畜場で実施されている、食用にと畜される48か月齢超の健康牛のBSE検査について、現行基準を継続した場合と廃止した場合のリスクの差は非常に小さく、人への健康影響は無視できる。」とする評価結果を取りまとめました。なお、厚生労働省は、と畜場の生体検査において神経症状が疑われた牛等のBSE検査は継続するとしています。
  評価結果の詳細については、次のHPを参照ください。:http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/bse_information.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
 今回の評価結果を受け、厚生労働省では、と畜場での健康牛に係るBSE検査を廃止する規制の見直しを行い、平成29年4月1日から施行予定です。

(参考)
・食品安全委員会 メールマガジン読み物版:http://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h2810_r1.html別ウインドウで開きます(外部サイト)http://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagagine_h2810_r2.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 BSE Q&A:http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/bse_information.data/bse_infomation_QA201608.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

・厚生労働省 牛海綿状脳症(BSE)について:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bse/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-3   腸管出血性大腸菌O157による食中毒がユッケや冷やしきゅうりが原因で起きましたが、O157による食中毒を防ぐにはどうしたらよいですか。

A IV-3   腸管出血性大腸菌は、牛などの家畜の腸や、人のふん便中に時々見つかる菌です。O157の他にも、O26 、O103、O111など多くの型があります。
  我が国でのO157による食中毒の原因食品としては、牛レバー、牛肉、野菜の浅漬け、井戸水等の例が報告されています。
 食中毒の症状としては、感染後1〜10日間の潜伏期間を経て、初期にかぜのような症状があり、その後、激しい腹痛と大量の新鮮血を伴う血便がみられます。発熱することは、あまりありません。ただし、実際の患者数は多くありませんが、乳幼児や高齢者で、溶血性尿毒症症候群(HUS)(※)を併発し、意識障害など重篤な症状や、時には死にいたることもあります。
 腸管出血性大腸菌は、加熱や消毒により死滅します。食中毒の予防対策としては、食肉は中心部まで十分加熱する(75℃で1分以上)、野菜類はよく洗浄する、調理器具の消毒などの対策を徹底することが重要です。肉は、中心部の色が変わるまで、十分に加熱しましょう。

※ 溶血性尿毒症症候群(HUS)
溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全を特徴とする症候群で、腸管出血性大腸菌感染症に引き続いて発症することが多く見られる。

(参考)
・食品安全委員会 食中毒の概要:http://www.fsc.go.jp/sonota/e1_bbq_food_poisoning_e2.data/01_ehec.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 健康影響評価書「生食用食肉(牛肉)における腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌」:http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20110711108別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 腸管出血性大腸菌による食中毒の情報:http://www.fsc.go.jp/sonota/tyoukan-shokuchu.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

・厚生労働省 腸管出血性大腸菌による食中毒:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/daichoukin.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-4   なぜ牛肝臓(レバー)の生食ができなくなったのですか。牛レバーを安全に食べるにはどうすればいいですか。

A IV-4   牛の肝臓には、腸管出血性大腸菌がいることがあり、牛肝臓(レバー)の生食用としての提供が禁止されたのは、もし生で食べると腸管出血性大腸菌による重い食中毒の発生が避けられないからです。
  と畜場で解体された牛の肝臓の内部から、腸管出血性大腸菌が検出され、現時点では加熱以外の方法で牛レバーを安全に生食するための有効な予防対策が見いだせていません。そのため、平成24年7月1日から、生食用牛レバーの販売が禁止されました。
  腸管出血性大腸菌による食中毒は、わずか2〜9個の菌で、発病することがあります。潜伏期間は平均4〜8日で、主な症状は腹痛と下痢ですが、重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)※や脳症を併発し、最悪の場合、死に至ることもあります。HUSは、感染者の約10〜15%で発症し、そのうち約1〜5%の方が死に至るとされています。
  牛レバーを安全に食べるためには、中心部まで75℃で1分以上を目安にしっかり加熱してください。中心部の色が変わるまで、十分に加熱してから食べましょう。また、生レバーや生肉を扱った調理器具は、洗浄後熱湯で十分に殺菌し、他の食材用の調理器具と使い分けるようにしましょう。

※ 溶血性尿毒症症候群(HUS)
溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全を特徴とする症候群で、腸管出血性大腸菌感染症に引き続いて発症することが多く見られる。
(参考)
・食品安全委員会 季刊誌「食品安全」vol.31p6:https://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/31gou/31gou_6.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 食肉や内臓の生食について:http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/namaniku_hyoka.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省「牛レバーを生食するのは、やめましょう(「レバ刺し」等):http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syouhisya/110720/別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-5   鶏肉にはカンピロバクターという食中毒の原因菌がいると聞きました。以前家族で外食をした際に、鶏のたたきを食べたところ、下痢や発熱などの食中毒様症状が出たことがあるので、カンピロバクターについて教えてください。

A IV-5   カンピロバクターは、鶏や牛、豚などの家畜の消化管内に主に生息する細菌であり、現在我が国で確認されている食中毒の上位を占めている原因菌のひとつです。
  ヒトがカンピロバクターを含む食品を食べると、少ない菌数でも腸炎を発症し、下痢、腹痛、発熱などの症状を起こす可能性があります。まれに、感染後に神経疾患であるギランバレー症候群を発症することもあります。しかし、カンピロバクターは乾燥に弱く、また、65℃以上での数分間の加熱によって死滅します。
  食品安全委員会では、農林水産省などのデータを用いてリスク評価をしており、2009年6月に公表された鶏肉中のカンピロバクターに係る評価書によりますと、農場段階では生きた鶏の約30%弱がカンピロバクターに汚染されており、流通段階の汚染率は、鶏肉で32〜96%、内臓で14〜100%とされています。農場、食鳥処理場、家庭または飲食店など、各フードチェーンの過程に沿ったカンピロバクターのリスク低減対策を検討したところ、鶏肉やその他の内臓の生食を避けることと他の対策を組み合わせた場合の効果が、最も大きいことが示されました。
  家庭等での食生活で実行できるカンピロバクター対策としては、「十分加熱して食べる」、「肉を切ったまな板や包丁はよく洗って熱湯等で消毒してから他のものを切る」、「冷蔵庫で保存する時は、肉と野菜は離して入れる」、「調理するときは手洗いを徹底する」などです。
 食中毒の疑いがある場合には、最寄りの保健所や医療機関などに御相談してください。
  下記も参考にしてください。

(参考)
・食品安全委員会 食中毒の概要:http://www.fsc.go.jp/sonota/shokutyudoku.data/02_campylo.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 微生物ウイルス評価書「鶏肉中のカンピロバクター・ジェジュニ/コリ 2009年」:https://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20041216001別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 カンピロバクター ファクトシート(平成28年9月30日更新):http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_campylobacter.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

・厚生労働省 カンピロバクター食中毒予防について(Q&A):http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-6   サルモネラフリーと認められる卵というのは存在するのでしょうか。ホテルで食品衛生を担当しているのですが、生卵を提供したいという要望があります。

A IV-6   食品安全委員会では、サルモネラフリー卵については、把握していません。通常の流通過程では、パックに詰められる前に卵殻の洗浄・殺菌が実施されているので、卵殻の汚染は除去されます。
  食品安全委員会で実施した研究では、全国から集めた約10 万個の卵でサルモネラ・エンテリティディスに汚染されていたのは3 検体であり、これとは別に2 万個の卵からサルモネラ・エンテリティディス汚染が検出されなかったとのデータもあわせて、汚染の確率を0.0029 %程度と推定しています。
  サルモネラに汚染された卵を常温で長期間保管していたり、殻を割ってから食べるまでの間放置したりすると、その間に菌数が増加することが知られています。
  なお、農林水産省の指導で、農協やGPセンターでのサルモネラ低減の取組や、農場HACCP の取組が行われています。

(参考)
・食品安全委員会食中毒の概要:http://www.fsc.go.jp/sonota/salmonella.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-7   保温ボトルを使って小豆を湯の中で8時間ほど置いて下ごしらえをする方法を教えられ、その方法を試したところ、小豆は固いままで湯はぬるま湯になっていました。その後、小豆は圧力鍋で炊きましたが、ぬるま湯につかった時間が長かったので、ウエルシュ菌食中毒にならないか心配です。

A IV-7   ウエルシュ菌は、土壌などに広く生息し、酸素のないところで増殖する菌で、耐熱性芽胞(※)を形成するものもあります。ウエルシュ菌による食中毒は、食物と共に腸管に達した菌が出す毒素によって起こるものです。潜伏期間は6〜18時間で、主な症状は下痢と腹痛です。  ウエルシュ菌の食中毒は、食肉や魚介類などを使ったカレーやシチューなどの煮込み料理、また、そういった料理を一度に大量に作る場合などで起こることが多くなっています。ウエルシュ菌がよく増殖する至適温度は、43〜45℃です。  今回、圧力釜で加熱されているということなので、十分な加熱がされていますので、その後長い時間室温に放置しなければ問題がないと思われます。

  例えば、水の沸騰する温度であればウエルシュ菌(増殖型栄養細菌)は死滅させることができますので、調理するときにしっかり加熱することが重要です。しかし、加熱したのちに耐熱性芽胞が生残し、室温に放置される間に菌が増殖して食中毒を引き起こす場合があるので、温め直しの際もしっかり加熱することが大事です。

  特に、大量調理や電子レンジによる加熱では、部分的に加熱不十分になりやすいので、加熱する際に、かきまぜるなどして、加熱むらがないように注意してください。また、食品を保存する場合は、10℃以下か55℃以上を保つようにしていただき、早めに食べるようにしてください。

※ 芽胞 

ウエルシュ菌やボツリヌス菌、セレウス菌、枯草菌等の特定の細菌が作る細胞構造の一種。生育環境が増殖に適さなくなると、菌体内に形成する。芽胞は加熱や乾燥等の過酷な条件に対して強い抵抗性を持ち、発育に適した環境になると、本来の形である栄養細胞となって再び増殖する。

(参考)
・食品安全委員会 食中毒の概要:http://www.fsc.go.jp/sonota/clostridium_perfringens_e1.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 ウエルシュ菌 ファクトシート:http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/03clostridium.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-8   リステリアに汚染されている可能性があるので、ナチュラルチーズは危ないと聞きました。現在妊娠8か月で、胎児への影響を考え妊娠中は避けるよう注意していたのに、ついレストランでナチュラルチーズをかけたパスタを食べてしまいました。大丈夫でしょうか。

A IV-8   リステリアは、河川や下水、魚類、野生動物、家畜の腸管など、自然界に広く分布しています。欧米では、この細菌に汚染された食品を介して、ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモン等を原因としたリステリアによる集団食中毒が発生しています。日本国内では、厚生労働省の平成24年の調査(厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)事業)によれば、年間200人程度のリステリア症患者が発生していると推定され、その多くを高齢者が占めていたとされています。
  リステリアに汚染された食品を食べても汚染菌数が少ない場合、健康な人であれば、感染しても症状がでないことが多いのですが、高齢者を含め免疫力が低下している人は、発症のリスクが高まります。リステリア症を発症すると、初期にはインフルエンザのような発熱や嘔吐、頭痛などの症状があり、重症になると髄膜炎や敗血症を引き起こし、意識障害やけいれんが起こることもあります。
  また、妊婦が感染した場合、早産や流産の原因になったり、胎児に影響が出たりする例もみられますので、注意が必要です。
  リステリアは4 ℃以下でも増殖可能ですが、70℃以上の加熱で死滅します。
  国内で生産されるチーズ等の乳製品は殺菌された乳からつくられており、リステリア汚染の可能性は極めて低いと考えられます。また、プロセスチーズも、ナチュラルチーズを加熱して製造するので、リステリア菌汚染の可能性は低いといえます。妊娠期間中は、肉なども十分加熱して食べてください。どうしても心配であれば医師に相談して下さい。
  リステリア症予防のポイントは、冷蔵庫を過信することなく、生で食べる食品やRTE食品(※)は賞味期限または消費期限を守り、なるべく早く食べること、特に、妊婦や免疫力が低下している高齢者は、できるだけ加熱した食品を食べることなどです。
※ RTE食品
  消費者が購入後に加熱調理しないで食べる食品(Ready-to-eat foods)。非加熱喫食食品とも呼ばれる。チーズ、燻製品、サラダ、生ハム等。
(参考)
・食品安全委員会 食中毒の概要:http://www.fsc.go.jp/sonota/listeria.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 微生物ウイルス評価書「食品中のリステリア・モノサイトゲネス」:http://www.fsc.go.jp/sonota/shokutyudoku.data/kya20120116331_201.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会リスクプロファイル〜 非加熱喫食調理済み食品(Ready-to-eat 食品)におけるリステリア・モノサイトゲネス 〜(改訂版):http://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/listeriamonocytogenes.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 季刊誌「食品安全」vol.35 「食品中のリステリア・モノサイトゲネスについて」:http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/35gou/35gou_4.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省 リステリアによる食中毒:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055260.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
 
Q IV-9   ノロウイルスによる食中毒感染が広く報じられていますが、予防するためにはどうすればよいかを教えてください。

A IV-9   ノロウイルスは、とても小さなウイルスで、感染力が強く、少量(10〜100個程度)が口に入っただけでも、感染、発症します。
  感染すると、24〜48時間以内に、おう吐、下痢、腹痛吐き気、腹痛、38℃以下の発熱などの症状を引き起こします。特に、おう吐は突然、抑えることが出来ないほど急激に強く起こるのが特徴的です。特にこどもや高齢者は感染した場合、健康な成人よりも重症になりやすいので注意が必要です。現時点では、ノロウイルスについてはワクチンがなく、治療は対症療法に限られます。
  ノロウイルスの食中毒は、ノロウイルスに汚染された食品を摂ることによって起こりますが、食品を介さない感染性胃腸炎でも同様の症状が起こります。
  ノロウイルスに感染した人の便や吐物には大量のノロウイルスが排出され、便や吐物を処理する際に、正しい処理を行わなければ、飛沫等で周辺が汚染され、時間が経過した後も感染が広がります。
  ノロウイルス食中毒の予防対策は、手洗いの徹底と食品の加熱、塩素等による消毒が重要です。以下のような取組が有効です。
  (1)食事の前やトイレの後などには、必ず石けんで手を洗う。
  (2)加熱が必要な食品は中心部(中心温度85〜90℃で90秒間以上)までしっかり加熱する。(ノロウイルスは、85℃〜90℃で90秒以上の加熱で不活化されます。)
  (3)野菜などの生鮮食品は充分に洗浄する。
  (4)感染者の便、おう吐物に直接接触しない。
  (5)大量の調理をする施設の場合、下痢やおう吐などの症状がある従事者は、食品を直接取り扱う作業を行わない。
  (6)器具や床の消毒には高濃度の次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)(※)で浸すように拭くとよい。
  (7)熱湯消毒が可能な包丁、まな板、食器、ふきんなどは煮沸消毒するとよい。
  (8)患者は、症状が治まった後も1週間から1か月程度はウイルスを排泄するので、感染を拡大させないよう注意する。
※ 次亜塩素酸ナトリウム消毒液(塩素濃度200ppm)の作り方
 市販の塩素系漂白剤(塩素濃度約5%)を250倍希釈して作ることができます(例:5Lの水に漂白剤を20ml入れる。)。なお、塩素系の漂白剤でなければ効果的な消毒はできません。塩素系漂白剤を使用する際は、「使用上の注意」をよく確認して、塩素系のものと酸素系のものを混ぜたり、熱湯で使わないようにしましょう。
 ノロウイルス対策の詳細につきましては、食品安全委員会や厚生労働省のホームページをご覧ください。
(参考)
・食品安全委員会「ノロウイルス食中毒について」:http://www.fsc.go.jp/sonota/norovirus.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 食中毒予防のポイント ノロウイルスによる食中毒にご注意ください:http://www.fsc.go.jp/sonota/e1_norovirus.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省 「ノロウイルスに関するQ&A」:http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
 
Q IV-10   会社の工場で魚を扱っていますが、ヒスタミンの基準値というものがなく、検査結果の数値をどうとらえてよいか分かりません。ヒスタミンの量がどのくらいで食中毒になるかを教えてください。
A IV-10   ヒスタミンは、マグロ類、カツオ類、サバ類等を常温に放置する等、不適切な管理が行われた結果生成され、ヒスタミンを多く含む魚やその加工品を食べることにより食中毒を発症することがあります。食品安全委員会のまとめたファクトシートでは、一般的に食品中の濃度が100mg/100g以上の場合に発症するとされています。
 しかし、食中毒事例のデータでは推定摂取量に10倍以上の開きがあります。出荷後の取扱いによって増加する可能性もあるので、ファクトシートも参考にしていただき、魚を保存する場合には、速やかに冷蔵・冷凍し、常温での放置時間を最小限とするなどの衛生管理を徹底してください。
(参考)
・食品安全委員会 ヒスタミン ファクトシート(平成26年3月26日更新):http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/140326_histamine.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・平成25年第493回食品安全委員会 資料3「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等(平成25年10月分)について:https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20131111sfc別ウインドウで開きます(外部サイト)

・厚生労働省 ヒスタミンによる食中毒について:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130677.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
 
Q IV-11   腸炎ビブリオの食中毒は、魚介類で起こりやすいそうですが、食品事業者としては、どのようなことに気を付ければよいですか。

A IV-11   腸炎ビブリオによる食中毒では、8〜24時間の潜伏期間のあと、腹痛、水様下痢、発熱、おう吐などの症状が起こります。
過去の原因食品は、魚介類(刺身、寿司、魚介加工品)や二次汚染されたその他の食品等が報告されています。腸炎ビブリオは、真水や酸に弱く、3%前後の食塩を含む食品中でよく増殖します。また、室温でも速やかに増殖します。加熱した場合、60℃、10分間の加熱で死滅します。
  腸炎ビブリオの食中毒予防対策としては、魚介類は新鮮なものでも真水でよく洗うこと、短時間でも冷蔵庫に保存し、増殖を抑えることが重要です。
  腸炎ビブリオは、沿岸海水域に生息している細菌で、魚介類を多く食べる我が国では、以前は腸炎ビブリオによる食中毒が多く発生しました。その後、厚生労働省が生食用鮮魚介類の規格基準を改正し、衛生管理の徹底が図られるようになり、食中毒事件の発生は激減しましたが、今も依然として沿岸海水中には腸炎ビブリオが生息しており、食中毒が散発的に発生します。
(参考)
食品安全委員会 食中毒の概要:http://www.fsc.go.jp/sonota/v.parahaemolyticus.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
食品安全委員会 腸炎ビブリオ リスクプロファイル:http://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/vibrioparahaemolyticus.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
 
Q IV-12   自宅で豚肉を調理して食べましたが、加熱が十分でなく、内側がまだ少し赤かったようでした。食べた量は少量ですが、生の豚肉にはトキソプラズマなどがいると聞き、心配になりました。豚肉のリスクについて教えてほしい。
A IV-12   豚の食肉や内臓については、E型肝炎ウイルス、細菌(サルモネラ属菌、カンピロバクター)、寄生虫(トキソプラズマ、旋毛虫、有鉤条虫)などの食中毒の原因となる危害要因が存在していると考えられます。
  日本では現在のところ、トキソプラズマを原因とした食中毒の報告事例はありません。しかし、トキソプラズマは、原虫であるコクシジウムの一種で、妊婦が感染すると流産などを引き起こすことがあるとの報告があります。
  トキソプラズマ以外にも、豚肉はE型肝炎ウイルスやいろいろな細菌、寄生虫などに汚染されている可能性もあるので、十分な加熱が必要です。中心温度が63℃、30 分以上と同等の加熱調理により、寄生虫や食中毒細菌も死滅します。調理の際には、生肉を扱った調理器具等による喫食時の交差汚染を防ぐことも重要です。一般的に抵抗力の弱い高齢者、小児、妊婦などにおいては、より一層注意が必要です。
 
Q IV-13   フグの肝臓は、なぜ食用禁止とされているのですか。

A IV-13  フグは、フグ毒(テトロドトキシン)を持っています。テトロドトキシンは、非常に高い毒性を持つため、人が摂取すると死に至ることがあります。厚生労働省では、食品衛生法に基づき、食べることができるフグの種類、その部位、漁獲海域を定めています。また、自治体では、フグの調理に関する資格を設けて、資格をもつ者以外がフグの取扱いに従事することを禁止するなどの取組を行っています。
  フグの素人調理や肝臓等の有毒部位の喫食により食中毒が発生しています。フグの毒は、塩もみ、水にさらす、加熱などの調理では、無(弱)毒化されることはありません。フグの素人料理はやめましょう。
  平成28年度、食品安全委員会では、厚生労働省から諮問を受け、「佐賀県及び佐賀県内事業者が提案する養殖から提供まで管理された方法により取り扱われる養殖トラフグの肝臓」について、評価を行いました。詳細については下記の評価書をご覧ください。 
(参考)

・厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル 動物性自然毒:

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

・厚生労働省 「フグの肝臓の食用禁止」と「佐賀県及び佐賀県内事業者が提案する養殖トラフグの肝臓の可食化」に関するQ&A:

 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000124498.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
「佐賀県及び佐賀県内事業者が提案する養殖から提供まで管理された方法により取り扱われる養殖トラフグの肝臓」:https://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20160428021別ウインドウで開きます(外部サイト)

 
Q IV-14   キノコによる食中毒には、どのようなものがありますか。また、どのような症状が起こりますか。
A IV-14  日本には200種以上の毒キノコがあると考えられており、食用きのこと見分けがつかないものがたくさんあります。なかでも、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジの3種は、見た目がシイタケやホンシメジなどの食用キノコと似ているため、誤食しやすい毒きのこです。
  毒キノコによる食中毒の症状は、おう吐や下痢、腹痛から、重症では死に至る場合もあります。
  毒キノコの種類によっても異なりますが、食中毒事例の多いツキヨタケなどの場合、食後20〜30分から数時間程度で、おう吐や下痢、腹痛などの消化器系の中毒症状が現れます。テングタケなど、発汗やけいれんなど神経系の中毒症状を起こすものや、ドクツルタケなど肝臓や腎臓に障害を与えて死に至ることがあるものもあります。
  また、近年、スギヒラタケを食べたことが原因と疑われる急性脳症の発症例が複数報告されており、注意が必要です。
  なお、キノコ毒は加熱や塩漬けでは分解しません。ツキヨタケの主な有毒成分であるイルジンSは、加熱や塩漬けでも分解しないことがわかっています。加熱などの調理をしても、食中毒を引き起こします。
  野生のキノコは、食用と確実に判断できない限り、絶対に採ったり食べたり人にあげたりしないでください。万一、キノコを食べて体調に異変が生じたら、すぐに医師に相談しましょう。また、カエンタケのように、触るだけでも皮ふ炎を起こす毒キノコもあります。
  下記も参考にしてください。
(参考)
・食品安全委員会 食中毒予防のポイント 毒キノコによる食中毒にご注意ください:http://www.fsc.go.jp/sonota/kinoko_tyudoku.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会メールマガジン(読物版)毒キノコに気をつけよう その1:http://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h2809_r2.html

別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会メールマガジン(読物版)毒キノコに気をつけよう その2 :http://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h2809_r3.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

・厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html#kinoko別ウインドウで開きます(外部サイト)


Q IV-15   ジャガイモに含まれるソラニンの中毒の発現量について教えてください。
A IV-15   ジャガイモの発芽部や緑色部分には、ソラニンやチャコニン等のアルカロイド(ステロイド系アルカイド配糖体)が含まれることが古くから知られています。家庭菜園などで作られた未熟で小さいジャガイモは、全体にソラニン等を多く含んでいることもあるので、注意が必要です。 典型的な中毒症状としては、食後30分から半日で発症し、嘔吐、下痢、腹痛、めまい、動悸、耳鳴、痙攣、呼吸困難があります。症状が重い場合には死に至ることもあります。
 拮抗剤や解毒剤はありません。起立性低血圧や神経症状があれば、少なくとも24時間の入院観察が必要です。また、摂取後4時間以内で患者に嘔吐や下痢がなければ胃洗浄、吸着剤と下剤の投与が有効とされています。
 ジャガイモは収穫・購入後、新鮮なうちに食べ、長期間保存しないでください。保存する場合は冷暗所に置き、芽の出やすい環境(高温、明所)に放置しないでください。保存中に芽が出た場合、芽の付け根の硬くなった部分にはソラニン等が多く含まれるので、皮の内側の部分も含めて、確実にとり除いてください。掘り出した新鮮なイモでも、小さいもの、地中の浅い所にあったイモにはアルカロイドが入っているので食べない方がよいでしょう。ソラニン等は水に溶けやすいので、蒸す料理ではなく、ゆでる、二度ゆでする調理方法をとると中毒の確率が減りますが、熱によっては分解されません。
(参考)
・農林水産省 知識があれば怖くない!天然毒素:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・農林水産省 食品中のソラニン、チャコニンに関する情報:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/solanine/別ウインドウで開きます(外部サイト)

 
Q IV-16   モロヘイヤを食べた牛が死んだというニュースを聞いたことがあります。毒は、種の部分だけにあるのですか。

A IV-16   モロヘイヤ(Corchorus olitorius)は、シナノキ科の植物で、エジプトを中心に中東、アフリカ、インド、東南アジア地域などで、広く栽培されています。
 モロヘイヤの葉は、我が国でも野菜として利用されるようになっています。
 一方、モロヘイヤの種子には、強心配糖体(強心作用のある成分)が含まれることが知られ、誤った摂取は、めまいや嘔吐などの中毒を起こします。なお、長崎県の農家で、実のついたモロヘイヤを食べた牛が死亡するという事例が報告されています。
  モロヘイヤに含まれる強心配糖体については、成熟した種子で最も多く含まれるほか、成熟中の種子、成熟種子の莢(さや)、発芽からしばらくまでの若葉などにも含まれますが、収穫期の葉、茎、根の各部位並びに蕾(つぼみ)発生期の葉、茎、根、蕾(つぼみ)の各部位には含まれず、野菜としての“モロヘイヤ”、モロヘイヤのいわゆる健康食品、モロヘイヤ茶などからも検出されないことが報告されています。
  従って、家庭菜園などでモロヘイヤを栽培し、食されている場合には、収穫時期に十分留意し、種子やその莢が混入しないよう、また、市販のタネには、強心配糖体が含まれていますので、小児等が誤って口に入れない等の注意が必要です。
  しかしながら、野菜として流通しているモロヘイヤを摂食することによって健康被害が起きることはないと考えられます。

(参考)

・農研機構「モロヘイヤの毒性について」:http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/jute.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-17   白インゲン豆ダイエットがテレビで紹介され、健康被害が出ていますが、原因を教えてください。

A IV-17   平成18年5月6日にテレビ番組で紹介された調理法により調理した白インゲン豆を摂取した方が、嘔吐、下痢等の消化器症状を呈するという健康被害事例が報告されました。
  インゲン豆は生、もしくは加熱不足の状態で摂取すると、糖結合たんぱく質であるレクチンの活性が残ったままで、嘔吐や下痢等の消化器症状を起こすことが知られています。
  本来、インゲン豆の調理において、水に十分浸し、柔らかくなるまで煮るのは、おいしく食べるという目的ばかりではなく、有害な成分を無害化するという目的もあります。通常の調理法で調理すれば、食品安全上問題はありません。
(参考)
・厚生労働省白インゲン豆の摂取による健康被害事例に関するQ&A:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/05/h0522-4.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
 
Q IV-18   コンフリー(シンフィツム)について食品安全委員会は食べるのはよくないと発表したそうですが、庭にコンフリーがありミックスジュースなどで使用しています。大丈夫ですか。

A IV-18   平成16年3月に厚生労働省よりコンフリー及びコンフリーを含む食品についての食品健康影響評価要請があり、当委員会で食品健康影響評価を行い、コンフリーを食べることによる健康被害の可能性を否定できない旨を厚生労働省に通知しました。
  厚生労働省はこの評価を受けて、コンフリーとコンフリーを含む食品の製造、販売、輸入を禁止しました。コンフリーによる健康被害は、コンフリーに含まれるピロリジジンアルカロイドの作用によるものと考えられており、海外では肝静脈閉塞性疾患などの被害が報告されています。コンフリーは食べないように、注意してください。
(参考)
・食品安全委員会 健康影響評価 コンフリー:http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20040324069別ウインドウで開きます(外部サイト)
・農林水産省 食品安全に関するリスクプロファイルシート  ピロリジジンアルカロイド類:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/pdf/160115_pa.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-19   庭のスイセンを食べて食中毒になったという報道を見ました。どういうことでしょうか。

A IV-19   平成18年から27年までの10年間で自宅の庭等に生えているスイセン葉をニラやノビルと勘違いして食べて下痢や嘔吐などの食中毒症状を発症した事案が、37件(患者数149人)起きています。スイセンはヒガンバナ科の植物で、植物全体、特に鱗茎(※)にリコリンなどのアルカロイドを含有し、誤食すると、おう吐、下痢などを起こします。スイセンの葉はニラやノビルと似ているため、花が咲いていないと間違える例が多いですが、ニラに比べて幅が広く、厚く、全体に大きいです。また鱗茎はタマネギと似ていますが、どちらも臭いで判断できます。家庭菜園等で食用植物(野菜、野草、ハーブ等)を栽培・採取することが人気ですが、家庭では、ニラとスイセンを離して植えましょう。
※ 鱗茎(りんけい)  たまねぎのように、厚い鱗片が重なって球形になったもの。鱗片に養分が貯えられ多肉になっている。
(参考)
・食品安全委員会 ハザード概要シート スイセン関連情報:https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/kosyoku_1.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:スイセン類:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000075843.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・消費者庁 News Release (平成28年4月13日)「家庭菜園等における有毒植物による食中毒にご注意ください。」:http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/160413kouhyou_1.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・東京都福祉保健局 身近にある有毒植物 p7:https://hfnet.nih.go.jp/usr/kiso/pamphlet/dokushoku.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
 
Q IV-20   かび毒はどのようなもので、人に対して、どのような影響を及ぼすのですか。また、かび毒の対策は、どうなっていますか。

A IV-20   菌類の一種であるかびがつくる物質は、食品や医薬品製造で役立つものも多くありますが、一部のかびは天然毒素を生み出します。これを「かび毒」といい、現在、300種類以上のかび毒が知られています。代表的なものとしては、とうもろこしや落花生、豆類などから検出されるアフラトキシン、リンゴ果汁などから検出されるパツリン、小麦、大麦などから検出されるデオキシニバレノール、ニバレノール、穀類とその加工品などから検出されるオクラトキシンなどがあります。
  一般に、かび毒は熱に強く、加工・調理しても毒性がほとんど減らないため、農産物の生産、乾燥、貯蔵などの段階で、かびの発生や増殖を防止することが重要です。

 かび毒は、人や動物に対して、多様な健康被害を及ぼします。急性症状を伴うものもありますが、多くは慢性毒性、発がん性が主体となります。例えば、アフラトキシンは肝臓障害や発がん性、パツリンは消化管の充血や出血、潰瘍、デオキシニバレノールやニバレノールはおう吐、下痢などの消化器症状や免疫抑制、オクラトキシンは腎臓障害などです。
 家庭でできるかび毒の害を避ける方法としては、かびが生えているものは食べないことです。かびが見えている部分を取り除いても、かび毒が残っているおそれがあるので気を付けましょう。
  日本では、小麦中のデオキシニバレノール、リンゴ果汁中のパツリン、そして、農産物を含むすべての食品中のアフラトキシンについて、厚生労働省によって基準値が設定されています。
  農産物や輸入食品などのかび毒への具体的な対策については、農林水産省、厚生労働省等のリスク管理機関が実施しています。食品安全委員会では、これまでにアフラトキシン、パツリン、デオキシニバレノール、ニバレノール、オクラトキシンについて、リスク評価を行いました。
(参考)
・食品安全委員会 季刊誌「食品安全」vol.19 p4〜5 「かび毒(総アフラトキシン)のリスク評価」:http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/19gou/19gou_3.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 季刊誌「食品安全」vol.26 p3〜4「かび毒デオキシニバレノール、ニバレノールのリスク評価」:http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/26gou/26gou_3.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

・食品安全委員会 季刊誌「食品安全」vol.37 p4 「かび毒オクラトキシンAの評価」:http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/37gou/37gou_4.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

・農林水産省 かび毒情報:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/別ウインドウで開きます(外部サイト)
 
Q IV-21   ペットボトルに口をつけて飲んだ場合、どのくらいの時間までなら飲めますか?

A IV-21   ペットボトルに口をつけて飲むと、温度やその他の条件にもよりますが、口中から飲み残し飲料に入った雑菌がボトル内で増殖することが考えられます。
 また、雑菌が増殖する際に、場合によっては二酸化炭素を発生させることがあり、飲み残し後密閉状態で長時間放置された場合など、ボトル内の圧力が高まって破裂することもあります。
  いずれにしても、開栓後は消費者自身がしっかり管理することが大切です。次の点にも気をつけて、ペットボトル飲料を衛生的かつ上手に利用してください。
  (1)開けたら早めに飲みきる。
        時間を置いて飲むのは避け、飲み残した場合は冷蔵庫で保存の上、なるべく早めに遅くともその日のうちに飲みきりましょう。
  (2)口をつけて飲むのはなるべく避ける。
        直接口をつけて飲むのではなく、できるだけコップに注いで飲むようにしましょう。
  (3)部屋や車の中に置き忘れない。
        暑い部屋ではボトルが破裂することがあります。飲み残し飲料は長時間放置せず、きちんと捨てましょう。
(参考)
・食品安全委員会ホームページ  キッズボックス「ペットボトル、飲み残しに気をつけよう!」:

http://www.fsc.go.jp/sonota/kids-box/kids-petbottle.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・国民生活センター  飲み残し清涼飲料容器の破裂による事故!〜ペットボトルによる事故が増加〜:http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20040510_1.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-22   我が国における食中毒の最近の発生情報を知りたい。

A IV-22   食中毒に関する我が国の近年の発生状況は、厚生労働省で集計して公表されています。
  厚生労働省のホームページに、食中毒の統計資料が掲載されていますので、ご覧下さい。:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html#j4-2別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q IV-23   鳥インフルエンザが発生しましたが、卵や鶏肉からヒトに感染しないか、また、発生した養鶏場近くの他の養鶏場の鶏肉や卵は大丈夫なのか、不安です。海外からの鶏肉は、問題ないのかも知りたいです。

A IV-23   食品安全委員会では、我が国の現状において、鳥インフルエンザについて、鶏肉や鶏卵を食べることにより、ヒトに感染する可能性はないと考えています。
  その理由は、次のとおりです。
  (1)鳥インフルエザウイルスがヒトに感染するためには、ヒトの細胞表面の受容体(※1)に結合しなくてはなりませんが、私たちヒトの受容体はヒト型であり、トリ型とは異なるとされています。
  (2)鳥インフルエンザウイルスは酸に弱く、ヒトの体内で胃酸などの消化液により不活化(※2)されると考えています。
  鳥インフルエンザが発生した養鶏場では、鳥の間での感染力が高いので、すぐに殺処分が行われるため、それらの肉や卵が市場に流通することはありません。海外で発生が認められると、家畜防疫の観点から、その地域からの生の鶏肉輸入は即停止されます。
  食品安全委員会では、鳥インフルエンザについて、ホームページやフェイスブック等による情報発信を行っています。併せて、厚生労働省や農林水産省のホームページもご覧になってください。
※1 受容体
  受容体は、ウイルスがヒトや動物に感染する際に最初に結合する細胞表面の分子。インフルエンザウイルスの受容体は、大きく分けて2種類(ヒト型とトリ型)がある。
※2 不活化
  ウイルスが死滅する(感染性が失われる)こと。
(参考)
・食品安全委員会 鳥インフルエンザについて:http://www.fsc.go.jp/sonota/tori/tori_infl_ah7n9.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 鶏肉・鶏卵の安全性に関する食品安全委員会の考え方:http://www.fsc.go.jp/sonota/tori/tori_iinkai_kangaekata_140424.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

V 新開発食品(遺伝子組換え食品、健康食品)

Q V-1   遺伝子組換え食品とはどのようなものなのでしょうか。また、遺伝子組換え食品を食べても人体に影響はないのでしょうか。

A V-1   遺伝子組換え(組換えDNA技術応用)食品とは、他の生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、その性質を持たせたい植物などに組み込む技術(遺伝子組換え技術)を利用して作られた食品です。現在、日本で流通している遺伝子組換え食品には、(1)遺伝子組換え農作物とそれから作られた食品、(2)遺伝子組換え微生物を利用して作られた食品添加物があります。
  遺伝子組換え食品については、品目ごとに安全性の審査を受けることが法律(食品衛生法)で定められています。実際に、厚生労働省からの要請に基づき、開発した品目ごとに、専門家で構成される食品安全委員会において、最新の科学的知見に基づき安全性の評価(食品健康影響評価)を行います。現在、国内で流通している遺伝子組換え食品は、全てこの安全性評価を経たものになり、これらは全て食べても人体に影響がないことを流通前に確認しております。

(参考)
・厚生労働省 安全性審査が終了し公表された遺伝子組換え食品及び添加物リスト:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000071167.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q V-2   遺伝子組換え農作物と非遺伝子組換え農作物との違いはどのようなものでしょうか。

A V-2   遺伝子組換え技術によって、従来の農作物(非遺伝子組換え農作物)にはない形質を付与したことが違いとなります。具体的には、特定の除草剤を散布しても枯れない性質(除草剤耐性)、特定の害虫にのみ抵抗性を示す性質(害虫抵抗性)、また、特定の成分の含量を増加させた性質(高オレイン酸産生形質等)が主なものです。なお、遺伝子組換え農作物については、遺伝子組換え技術によって付与された形質を除いては、非遺伝子組換え農作物と同等であることを安全性評価の際には確認をしております。
具体的な安全性評価のポイントは、
    ・組み込まれた遺伝子は安全か
    ・組み込まれた遺伝子が作り出すたんぱく質に有害性はないか
    ・組み込まれた遺伝子が作り出すたんぱく質にアレルギーを誘発する可能性はないか
    ・組み込まれた遺伝子が間接的に作用し、他の有害物質を作る可能性はないか
    ・栄養成分、有害成分などの構成成分や量が大きく変化していないか
などで、これらについて科学的なデータを基に判断されます。
(参考)
・食品安全委員会 遺伝子組換え食品の安全性評価基準:http://www.fsc.go.jp/senmon/idensi/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q V-3   遺伝子組換えパパイヤの安全性が食品安全委員会で評価されたと聞きました。パパイヤは生で食べることが多いですが、食べても大丈夫でしょうか。評価内容について教えてください。

A V-3   パパイヤは、パパイヤリングスポットウイルス(PRSV)に感染すると果実に斑点を生じ、外見的な問題から市場価値が下がる、或いはPRSVの感染により果実の収穫が不可能になるなど、生産農家には深刻な被害をもたらすことがあります。日本で安全性審査が終了している遺伝子組換えパパイヤは「パパイヤリングスポットウイルス抵抗性パパイヤ55-1系統」(パパイヤ55−1)という品目で、このPRSVの影響を受けないよう作製されました。

 パパイヤ55−1の食品としての安全性は、食品安全委員会が策定した「遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価基準」に基づいて評価が行われ、導入されたPRSV CP遺伝子等が作るタンパク質のアレルギー誘発性や毒素産生性、導入された遺伝子によるパパイヤそのものへの意図しない影響の確認などを中心に評価を行いました。

・PRSVは多くのパパイヤに自然感染しており、被害の少ない果実は食用とされるが、健康被害の報告はなく、ヒトに対して病原性を示さないと考えられること、

・PRSV CP遺伝子が作るタンパク質は、毒性やアレルギー誘発性を持つという報告はなく、生で食べても胃液で容易に分解されること、

・仮に1日1個パパイヤを食べたとしても、PRSV CP遺伝子が作るタンパク質の摂取量は日本人の平均的なタンパク質の摂取量に比べ、ごく微量であること、

・パパイヤは元々、アレルギー物質などを持っているが、導入された遺伝子の影響で、その量が増えたり、新しい有害物質を作るおそれはないことにより、パパイヤ55−1については、「ヒトの健康を損なうおそれはない」と判断しました。この評価を受けて、パパイヤ55−1は日本で食品として厚生労働省で許可されています。

(参考)
・食品安全委員会 食品健康影響評価書パパイヤリングスポットウイルス抵抗性パパイヤ55-1系統:http://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-tuuchi-papaya_55-1.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会季刊誌「食品安全」vol.21p2〜3 「遺伝子組換えパパイヤのリスク評価を行いました。」:http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/21gou/21gou_2.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価基準:http://www.fsc.go.jp/senmon/idensi/gm_kijun.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q V-4   遺伝子組換え食品の安全性を評価する際には、アレルギーに関してどのようなことを調べているのですか。

A V-4   食物の摂取により体に障害を引き起こす反応のうち、食物を原因とする異物(食物抗原)に対して防衛しようとする働きにより抗体が作られることを、食物アレルギー(Food Allergy)と呼んでいます。いったん抗体が作られると、その後の抗原の侵入に対して、この抗体がよい方に働けば、免疫反応により病気の発症を抑えることができます。
  ところが、アレルギー体質を持っている人の場合、その後の抗原の侵入に対して過敏な反応をし、血圧低下、呼吸困難又は意識障害等、様々なアレルギー症状が引き起こされます。このアレルギーの原因となる抗原を特にアレルゲンといいます。外部から侵入してきたアレルゲンに対し、人体は血清中にIgE抗体というタンパク質を作って反応します。IgE抗体はアレルゲンとの接触をくり返すうちに体内に蓄積し、一定量以上になると再びアレルゲンと接触したときに結びついて様々なアレルギー症状を引き起こすのです。
  食品安全委員会では、遺伝子組換え食品等の食品健康影響評価に当たり、遺伝子組換え操作によって新たに付加、或いは除去された全ての性質のみならず、遺伝子組換え操作によって組み換えられる元の生物に予期しない悪影響が生じる可能性がないかという点等について、これまでに安全に食べられてきた食品と比較することで評価を行っています。
  例えば、アレルギー誘発性に関しては、まず次のような事項について調べ、挿入された遺伝子により作られるタンパク質の発現量も含めて総合的に判断した上で、安全性を確認しています。
  (1)挿入する遺伝子を有している微生物又は植物等についてアレルギー誘発性の報告がないか。
  (2)挿入された遺伝子により作られるタンパク質がアレルゲンであるという報告はないか。
  (3)挿入された遺伝子により作られるタンパク質は消化や加熱に対して安定であるか。
  (4)既にアレルゲンとして分かっているタンパク質と挿入された遺伝子により作られるタンパク質の構造が似通っていないか。
上記の項目でアレルゲンとなり得る可能性が否定できない場合には、
  (5)挿入された遺伝子により作られるタンパク質とアレルギー患者血清中のIgE抗体との結合能の検討が行われ、さらに疑わしい場合、皮膚テスト、経口負荷試験等の臨床試験が求められることになります。
(参考)
・食品安全委員会 季刊誌「食品安全」vol.5p2 「遺伝子組換え食品のリスク評価を理解する。」:http://www.fsc.go.jp/sonota/5gou_2.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 遺伝子組換え食品安全性評価基準:http://www.fsc.go.jp/senmon/idensi/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q V-5   体細胞クローン牛の安全性について教えてください。

A V-5   体細胞クローン技術とは、動物の体細胞(皮膚や筋肉などの細胞)を利用して元の動物と遺伝学的に同一な個体を新たに作製する技術のことです。すなわち、成熟した個体の体細胞から核を取り出し、これを細胞核を除いた未受精卵に移植して母体の子宮に戻すことにより、新しい個体を作成する技術です。核移植等の技術を用いて遺伝的に同一な個体を作る技術であるため、遺伝子の操作や改変等を行う遺伝子組換え技術とは異なります。この技術により、親個体と同じ遺伝子を持つ個体を理論上は無限に作ることが可能となります。
  食品安全委員会では厚生労働省からの依頼を受け、体細胞クローン技術を用いて産出された牛及び豚並びにそれらの子孫に由来する食品の安全性についてリスク評価を行いました。その結果、平成21年6月25日に「体細胞クローン牛及び豚並びにそれらの後代に由来する食品は、従来の繁殖技術による牛及び豚に由来する食品と比較して、同等の安全性を有すると考えられる。」との食品健康影響評価結果が示されています。
  なお、我が国において生産されている体細胞クローン家畜(牛、豚及び山羊)及びその後代は農林水産省が出荷自粛要請を行っているため、市場には流通していません。
(参考)
・食品安全委員会 新開発食品評価書 「体細胞クローン技術を用いて産出された牛及び豚並びにそれらの後代に由来する食品」:http://www.fsc.go.jp/emerg/hyoukasho_shinkaihatu_clone.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省 体細胞クローン家畜由来食品に関するQ&A:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/dl/080407-1.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・「体細胞クローン動物に関する状況について」:http://www.fsc.go.jp/emerg/clone_03.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q V-6    「健康食品」の報告書とメッセージが発表されましたが、いわゆる「健康食品」を摂取する際に特に注意する点があれば教えてください。

A V-6    食品安全委員会では、「いわゆる『健康食品』の検討に関するワーキンググループ」を立ち上げ、いわゆる「健康食品」の安全性についての検討を行い、平成27年12月8日に報告書及びメッセージをとりまとめました。
  いわゆる「健康食品」は医薬品ではないので、摂って病気が治ることはありません。また、健康な人が摂れば問題ないものでも病気の人が摂るとよくない事例がたくさんあります。特に病気の治療中の方は、決して自己判断で摂るようなことはせず、必ず医師・薬剤師に相談してください。
  また、「天然なので安心」といううたい文句で販売されている例も見受けられますが、「天然物」だから安全ということはありません。実際、天然のハーブ類を使ったいわゆる「健康食品」による健康被害も報告されています。
  いわゆる「健康食品」の安全性や品質、有効性などは、信頼できるデータが少なく分からないことがほとんどという状態で売られているものも少なくありません。特に痩身効果をうたったダイエット食品や強壮を目的とするものには、医薬品成分などが違法に含まれているものがあり、重篤な障害の事例もあるので安易に摂取しないよう注意してください。いわゆる「健康食品」の摂取を検討するときは、まずこれらに対する知識を有する専門家等(かかりつけ医、薬剤師、管理栄養士、または近くの保健所)に相談してください。
  このような内容をまとめた報告書、メッセージ及びQ&Aについては、食品安全委員会のウェブサイトから入手できるので是非ご覧ください。
(参考)
・食品安全委員会 いわゆる「健康食品」に関するメッセージ:http://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.data/kenkosyokuhin_message.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・食品安全委員会 いわゆる「健康食品」に関する報告書:http://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.data/kenkosyokuhin_houkoku.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

V リスク管理

Q VI-1   昨日購入した和菓子を家に持ち帰って食べたら、ガリッという音がしました。見てみるとガラスの破片のようなものが混入していました。製造元へ伝えたところ、製造時の米が固まったものではないかと言われましたが、どうみてもガラス破片のような気がします。その和菓子と異物は手元にあります。食品安全委員会で検査して製造元を指導してください。

A VI-1   食品安全委員会は、中立公正な立場で科学的なデータに基づき、食品中に含まれる食品添加物や農薬、ウイルス等が人の健康に及ぼす悪影響の程度を評価するリスク評価機関です。事業者等への指導権限はありません。
 食品安全基本法第8条でも、市販の商品の安全性に関して一義的に責任を有しているのは、商品の製造者等の事業者とされています。販売店に連絡して、販売店を通じて製造事業者に調査を依頼されてはいかがでしょうか。
なお、食品の衛生指導に関しては、各地の保健所が担当しております。事業者の対応等にご懸念がある場合は、事業者の所在地を管轄する保健所に相談してください。

(参考)
・食品安全基本法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO048.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・全国保健所長会 全国保健所一覧 http://www.phcd.jp/03/HClist/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q VI-2   輸入食品の危険性を煽る週刊誌の記事やネットの情報を見かけるのですが、輸入食品の安全性はどのように守られているのですか。

A VI-2   国産・輸入を問わず我が国で流通する食品は、食品衛生法に基づく規制を受けています。輸入食品は、毎年、厚生労働省が作成する「輸入食品監視指導計画」に基づき、全国32か所の検疫所で、日本の食品の規格基準に適合しているかどうかの審査や検査が行われています。
 具体的には、まず食品を輸入する際は、輸入者がその都度、検疫所に輸入届出をします。届出を受けて、検疫所に配置されている食品衛生監視員が、届出書類を審査し、原材料や製造方法、過去の違反事例、輸出国の情報などを確認して、食品衛生法の規制に適合しているかを確認します。審査の結果、問題がなければ日本国内への輸入が認められます。
 書類審査により食品衛生法違反の可能性があると判断された食品については、輸入者に対し輸入の都度、検査を命じます。これを検査命令といい、検査に合格しなければ輸入は認められません。
 書類審査により輸入が認められた食品については、輸入指導監視指導計画に基づき、計画的な抜き取り検査を行います。これをモニタリング検査といい、食品の種類ごとに輸入量や違反率などを勘案し、検査件数や検査項目を定めて行います。モニタリング検査で食品衛生法違反が発見された場合は、検査率を高めたり、検査命令の対象とすることにより、検査を強化します。検査には時間を要するため、検査が終了し、食品衛生法に違反することが判明したときに、すでに国内に流通していることがあります。このような場合は、輸入者を所管する地方自治体が、流通している食品等の回収や廃棄などを指示します。
 このほかに、輸入者に対する自主的衛生管理の指導として、初回輸入時や定期的に自主検査を実施して、食品衛生法に適合しているかを確認するよう、指導がなされています。また、地方自治体においても、流通している食品を店頭から収去し、食品衛生法の基準に合致しているかどうかを計画的に検査しています。詳しくは厚生労働省にお問い合わせください。

(参考)
・厚生労働省 「監視・指導統計情報」http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/kanshi/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省「輸入食品監視業務」http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・厚生労働省「検疫所パンフレット」 http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/dl/panf01.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q VI-3   まだ賞味期限内にも関わらず、味付け海苔の味がおかしいし、色も茶色っぽく変色しています。食べても大丈夫でしょうか。

A VI-3   賞味期限は未開封のときにこの日まではおいしく食べられるという期限です。開封した場合はできるだけ早く食べるようにして、その際に変な味がするものは、食べないでください。検査の実施や事業者への監視指導は保健所の担当になりますが、食中毒の可能性があるかどうか、検査をする必要があるかどうかなどは、保健所の判断になりますので、まずは保健所にお問い合わせください。

(参考)
・消費者庁 加工食品の表示に関する共通Q&A(第2集:消費期限又は賞味期限について)http://www.caa.go.jp/foods/qa/kyoutsuu02_qa.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

Q VI-4   食品の表示について教えてください。どこに聞いたらよいですか。

A VI-4   食品の表示は、これまで複数の法律に規定があり、非常に複雑でしたが、食品衛生法、JAS法、健康増進法の3つの法律の食品の表示に係る規定を一元化した食品表示法と、具体的な表示のルールを定めた食品表示基準が策定されて、平成27年4月1日に施行されました。食品表示法は消費者庁が所管しています。
 食品表示法では、JAS法で定められていた、食品の品質に関する表示の適正化を図るために必要な品質事項【原材料名、原料原産地名、内容量、原産地、原産国名、食品関連事業者等】と食品衛生法で定められていた食品の衛生事項【添加物、賞味・消費期限、保存方法、アレルゲン、製造所等】と両者共通の事項として遺伝子組換え食品、健康増進法で定められていた健康の増進を図るために必要な保健事項【栄養成分表示、機能性表示食品】の記載が義務付けられています。
 加工食品については、平成32年3月31日まで経過措置期間が定められていて、旧基準の表示方法が認められています。
 食品表示については、最寄りの地方自治体(保健所含む)のほか、消費者庁の表示規格課にお問い合わせください。
 また産地偽装や期限表示の改ざんなど、食品表示法に違反の被疑情報については、消費者庁で食品表示被疑情報提供フォームを設けています。酒類については国税庁に、酒類を除く違反情報については、農林水産省でも受け付けていますので、最寄りの地方農政局に情報提供してください。なお、酒類の表示につきましては、最寄りの税務署に情報提供をお願いいたします。

(参考)
・消費者庁 食品表示被疑情報提供フォームhttp://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/disobey_form_food/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・国税庁酒税行政関係情報(お酒に関する情報) http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/sodan/index.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・農林水産省 地方農政局(食品表示110番) http://www.maff.go.jp/j/jas/kansi/110ban_madoguti.html別ウインドウで開きます(外部サイト)

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